2009年9月26日土曜日

再現性が乏しいから信用できない?

常温固体核融合の実験に対して、「再現性が乏しい実験など信用できない。そのような実験に基づくのは似非物理だ」との批判があります。一見正論に見えますが、この批判は正しくありません。定量的な再現性に乏しいのは、実験条件や実験環境に不備があるのではなく、常温固体核融合現象の本質的な性質だと考えられているからです。

常温固体核融合の実験に再現性が乏しいと言われるのには、以下の2つの原因があると思われます。
  1. 1989年当時、実験環境の不備や測定の誤りによって、信頼性の低い実験データが報告された事があった。
  2. 常温固体核融合現象は「ゆらぎ」を避けられない「複雑系」の現象である。実験環境を整えたとしても、コントロールできない要因が残っており、本質的に定量的な再現性は期待できない。
1989年のフライシュマン博士とポンズ博士の発表の無茶な要約をすると、「重水の中にパラジウム電極を突っ込んで電気分解したら核融合が起こったみたい」というものでした。一見とても簡単そうな実験条件を見て、多くの科学者が再現に挑みました。ところが、簡単に見えながら、化学実験と核物理実験の両方の知識がいる「学際的」な実験であったため、初期の頃には不備や誤りが多発したようです。ノイズを拾ってしまったり、計測値の読み方を間違っていたりと、それぞれの専門家(化学者または核物理学者)が見れば簡単に分かる話でも、片方だけの専門家だと門外漢分野での誤りを見つけられなかったのです。特に核物理学の世界は、「中性子測定の一流プロ」とか「ガンマ線測定の一流プロ」という数名の人たちがいて、この人たちに頼まないと本当に精密な測定は難しいといった凄い世界のようで、初期の誤りとしては仕方のない面もあったと思います。これが上記の「1.」です。この点については、「再現性が乏しい実験など信用できない」という批判は正しいでしょう。
(1989年の状況については、「常温核融合スキャンダル」を参考にしました)

問題なのは「2.」の方です。1989年当初に再現性が非常に悪かったのは、当時はまだ誰も気づいていなかった隠れた再現条件があったからです。この隠れた再現条件の代表例が、パラジウムの表面の凸凹さです。「ミズーリ大学の固体核融合に関するセミナー」に紹介したダンカン博士のプレゼンに登場するEnergetic Technologies社では、パラジウム箔の表面を超音波加工して荒立たせているようです(「ultrasound-induced surface roughening」)。また、「著名論文誌Physics Lettersに固体核融合(常温核融合)論文掲載」で紹介した荒田博士の実験では、ナノサイズのパラジウム粒子(パウダー)が用いられています。これも表面積を増やし、表面を荒立たせるのと同じ効果を狙ったものだと思います。
パラジウムを使った常温固体核融合現象では、反応はパラジウムの界面(表面)付近で起こる事が観測されています。しかも、全域で均一に起こるのではなく、何かのきっかけで局所的に発生するらしいのです。つまり、非常に微視的な条件(もしかするとパラジウム表面のナノレベルの凹凸の形のようなものかもしれません)が、現象の発生を決定付けているらしいのです。この性質から、常温固体核融合現象には「定性的再現性」があるという言い方がされています。逆に言うと、「定量的再現性」は元々無いかもしれないのです。

この「定性的再現性」については、小島英夫著「「常温核融合」を科学する」に的確な説明があったので引用させていただきます。

P107~P108
■引用開始
2.12 定性的再現性
 フライシュマンたちの実験を1.2節で紹介したときにも述べたことですが、常温核融合現象の実験では、同じ条件(人為的に制御できる巨視的条件)で実験しても、結果がまったく同じになることはほとんどありません。
 得られる物理量「」の測定値「x」は一定せず、得られるまでの時間も不定で、場合によっては一度起こった現象と同種の現象が次に起こるまでに数ヶ月かかることもあるのです。これは、筆者が行った実験での経験でもありますし、親しく交流をもった多くの実験家の経験でもあり、著名な実験家が会議で表明していることでもあります。

 このような経験は、巨視的(マクロ)条件を実験者が設定しても、人為的にはコントロールできない微視的(ミクロ)条件が常に存在し、その微視的条件が現象に大きな(ときには本質的な)影響を与えるときに起こることです。
 また、常温核融合現象では、“原因”である「原子過程」のエネルギー量と、“結果”である「原子核過程」のエネルギー量とに、百万倍(10**6)もの違いがあることが、現象の定性的再現性を際立たせている点も見逃せません。
 定性的再現性の身近な例としては、割り箸を割って出来る2本の箸の形が一定しないことがあります。
 割り箸の外形はみな同じですが、割った結果は同じにはなりません。それぞれの割り箸の木目が違っていることを知っていれば、この結果は当たり前と思って誰も問題にしません。しかし、木目というミクロ構造の存在を知らなかったら、この結果は不思議この上ないことでしょう。
 はじめの形(マクロ条件)が同じなのに割った結果の箸の形が違うのですから、割り箸を割る行為(現象)には再現性がないことになり、科学的に説明できない不思議な現象ということになってしまいます。

 このように、“同じ”(と思っている)条件の下で起きる現象の結果が違ってしまうことは、複雑な系ではよく起こります。このような現象を、「定性的再現性」をもつ現象と呼びましょう。
 常温核融合現象では、同じマクロ条件で実験しても得られる結果は違っていて、事象の起こる強さと頻度は一定しません。箸が二つに割れることはほとんど間違いなくても、割口の形は一定しない(定量的に同じでない)のと同じです。

 「定性的再現性」という考え方(概念)を使うことによって、常温核融合現象の実験結果が整理しやすくなることは、これからの説明で明らかになるでしょう。
■引用終了
如何でしょうか?
「常温固体核融合の実験には定量的な再現性がないから、現象が起こっているとは信じられない」と言うのは、「割り箸を割って出来る2本の箸の形が違うから、割り箸が割れたとは信じられない」と言っているようなものです。常温固体核融合の研究は、「複雑系」の研究だという認識を持った方が良いのです。

まぁ、偉そうに書いてますが、私も調べてみて初めて「定性的再現性」という概念を知りました。こういう事情があるから、簡単には発見されなかったのでしょう。一見簡単そうに見えて、実は奥深い現象なのが面白いですね。

以上

2009年9月23日水曜日

D+D→He反応は起こる筈がない?

荒田吉明博士の「常温核融合公開実験」は、重水素(D)を入力とし、過剰熱とHe(ヘリウム)を出力とするクリーンな(中性子やγ線の出ない)核融合現象を再現させたものです。荒田博士の実験系の工夫によって再現性は非常に高まったのですが、この現象を裏付ける理論については確定的なものがなく、研究者の間で議論が続いています。どこかで読んだのですが、研究者の数だけ理論(候補)がある状況のようです。こんな楽しそうな学問領域が物理の世界に残っていたとは思いもよりませんでした。

さて、素人は、上記の現象を見て、ついつい
D+D → He+熱エネルギー
という反応式によって表される核反応が起こっていると思いがちです。しかし、「重水素(D)を入力とし、過剰熱とHe(ヘリウム)を出力とする」という主張と、「上記の反応式で核反応が起こっている」という主張の間には大きな差があります。後者の主張の方がずっと強いのです。
勉強した所によると、従来の物理学の知見から、上記のような反応式は自由空間の中では成り立ちません。物理学のプロである固体核融合の研究者もそんな事は先刻ご承知で、上記以外の様々な反応式の仮説が提示され議論されている状況です。上記の反応式を主張するとしても、金属格子の中という特殊な条件下で如何にこの反応式が成り立ち得るかを示すのに腐心しているのだと理解しています。これが、上述の「研究者の数だけ理論(候補)がある」状況の意味です。要は、現象の再現性は高まったが、まだその仕組みは解明されていないという事です。

もちろん、これは悪いことではありません。科学はみんなこうやって発展してきたのだと思います。こんな楽しそうな学問領域が物理の世界に残っていたとは思いもよりませんでした(繰り返し・・・笑)。

反応式の仮説の代表例としては、高橋亮人博士のTSC理論があります。これについては以下の解説文が分かりやすかったので引用させていただきます。

常温核融合は本当だった! その13
■引用開始
そこで、日本のエース・高橋亮人先生(大阪大学名誉教授)は、常温核融合は特異な過程をもつ核反応であるという考えから多体核融合の理論を展開されています。それは、重陽子(d)4個と電子4個が立方体の頂点を交互に占める配置をとった場合、一挙に凝集が起こりBe8を経て、2個のHe4が発生すると主張する理論。TSC理論(正四面体凝集理論)と呼ばれCold Fusioの分野で世界的に知られています。先生は「Cold FusionではDD核融合は起こっていない、多体核融合こそが起こっている」と主張されています。JCF9でもそう述べられていた。
■引用終了
これ以外にも多数の仮説が提示されて議論の俎上に乗っているようです。物理学を知っている人が「D+D→He」が起こっていると聞くと、「それはあり得ない。物理の常識を知らない似非物理だろう」と判断されてしまう恐れがあるので、説明する時には要注意です。

以上で本エントリの趣旨は終わりです。以下、「D+D → He+熱エネルギー」という反応式は成り立たない理由を述べます。素人理解なので間違っていたら易しく(笑)ご指摘いただけると助かります。ここでの知識は主として高橋亮人博士の書かれた「常温核融合2008―凝集核融合のメカニズム」から得ました。以降、「常温核融合2008」とは、この本の事を指します。

「常温核融合2008」のP58「図1-29 既知の重水素関連核融合反応と反応生成物、エネルギー(Q値)」には以下の反応式が示されています。

(a) D + D → p + t + 4.02MeV : 50%
(b) D + D → n + He3 + 3.25MeV : 50%
(c) D + D → He4 + γ + 23.8MeV : 0.00001%

つまり、「D+D→He+熱エネルギー」に相当する(c)は確率的に「起こらない」に近い反応なのです。
逆に、(c)が起こったとすると、その10万倍くらい(a)や(b)が起こり、結果として大量の中性子が観測される筈です。しかし、実験では中性子は観測されておらず、(b)は起こっていないと考えられます。したがって、(c)も起こっていない筈です。また、もう一つの論点としてガンマ線の発生があります。(c)が起こったとすると、ガンマ線も出る筈なのですが、それも観測されていません。

1989年当時の研究では、上記の「物理の常識」から考えて中性子が出ている筈との想定で中性子探しが行われたのですが、うまく行きませんでした。当時は、核反応が起こっているなら人体に有害な放射線が出ているリスクが高いと研究者も考えていて、実験担当者は結構心配していたようです(この辺の状況は「常温核融合スキャンダル」に詳しく書かれています)。本当に中性子やガンマ線がバンバン出ていたら、人的被害が出てたいへんな事になっていた筈ですね。

また、高橋亮人博士が、D+D→Heという反応式についてどう考えておられるかを示す部分を「常温核融合2008」から引用させていただきます。
なお、上付き数字や丸付き数字はうまく表現できないので、4HeをHe4等と書き換えました。

■P55~56から引用
また、「D+D→He4+格子エネルギー(Lattice-Energy)(23.8MeV)」は、核物理的に可能性なし」である。
<略>
たとえば、「D+D→He4+γ(gamma)(23.8MeV)」とか「Cs133+4D→Pr141+Q(50.49MeV)」のようなアインシュタイン(Einstein)の質量とエネルギー保存を表わす関係のみから導かれた、反応式は発熱反応であるので、化学的には常に起こるように見える。
しかし、(1)「初期状態 相互作用」における「クーロン力」の克服の程度と「強い相互作用」の度合い、(2)「中間 複合核」の状態、(3)「終状態 相互作用」における反応の分岐比--を定量的に見積もらない限り、反応が意味をもって実現する事が言えていない。
■P56~57から引用
フライシュマン(Fleischmann)、シュヴィンガー(Schwinger)に始まって、プレパラータ(Preparata)、ハーゲルシュタイン、チャブ=チャブなどの理論家や、マックーブル、荒田、デニーノ(deNinno)、ビオランテ、ストームズ(Storms)などの名だたる実験家がこぞって信奉してきたのが、「D+D→He4+格子エネルギー(Lattice-Energy)(23.8MeV)」の仮説である。
荒田らの実験条件からも、核物理的な「終状態 相互作用」からもこの仮説の論拠は破綻している。
また、凝集系内の重水素「D」は束縛されているために粒子束の桁が大きく減少するので、「DD」反応の出力が0.1W/cc以上になることはありえない。しかし、人々はなおこの仮説に固執していて、米エネルギー省(DoD)に酷評されることになった。
実験結果は、「He-4」を灰とするクリーンな核融合を示唆している。「軽水素系」では、この現象は起こらないので、「重水素が関連した何らかの凝集系での核反応」であるはずである。
既知の「重水素関連核融合反応」は、図1-29の反応が知られていて、「中性子」を発生せずに「He-4」が主生成物となる反応はない。核物理的には、いったいどんな反応チャンネルがあり得るのだろうか。
■P59から引用
「二体の重水素反応、2D(d-d)反応では、He-4が主生成物--灰となることは期待できない。」
現在までに集積された核物理的実験データと理論から得られた終状態相互作用のデータを見る限り、このコメントは覆りそうにない。
このことは、「過剰熱」と相関した「He-4」の発生を説明するには、「凝集系独特の新しい核反応」を“発明”しなければならない、ということである。
以上

2009年9月21日月曜日

常温核融合って論文は書かれてるの?

2008年5月22日に荒田吉明博士が公開実験に成功した際、「真っ当な物理学ならまず論文を出すべき」「いきなり記者会見するのは邪道」といった趣旨の批判がありました。でも、実は調べてみると、この20年間に固体核融合(常温核融合)に関する論文は多数書かれています。もちろん荒田博士も書かれています。荒田博士としては、これだけ多数の実験結果や論文が出てきており、しかも、エネルギー問題を解決する可能性のある重要テーマなのに関心(=投資)が集まらない状況に業を煮やしての公開実験だったのだろうと想像してます。

おそらく上記の批判は、1989年にフライシュマン博士とポンズ博士がユタ大学で記者会見を行ったにも係わらず、その後、追試がなかなか成功せず、1年ほどの内にJunk Scienceとの烙印を押された過去の経緯を念頭に置いてのものだと思います(1989年当時の事情については、ガリー・トーブス著「常温核融合スキャンダル」に詳しく記述されています)。当時はたしかに「功を焦って論文を書く前に記者発表した」状況でした。

しかし今は違います。20年間マスメディアから無視されている間に、地道な実験事実が積み重ねられています。理論は解明されていませんが、もはや実験を間違ったものとして退ける事はできない状況だと判断しています。「ミズーリ大学の固体核融合に関するセミナー」で書いたダンカン博士の態度も証左の一つです。

とはいえ、「論文は多数書かれています」と言われても中々信じられません。どれだけの論文が書かれているのか、私のような素人にとってはサッパリ分からないのが実情でした。そんな折、たまたま「Jed Rothwell」さんという方のブログへの書き込みを見て、具体的な件数や過去の業績の一端に触れる事ができましたので、以下に整理してみます。

「kikulog」という大阪大学の菊池誠博士が開設しておられるブログがあります。ここで荒田博士の公開実験が(否定的に)取り上げられたエントリに対し、Jed Rothwell氏がコメント欄で色々な情報を示してくれています。


Jed氏のコメントの内容を勝手に要約すると以下のように述べられています。
  • 常温核融合の論文は数千本出版されている。荒田博士の実験結果も10年前から報告され、アメリカ、イタリアなどで追試して確認されている。
  • Fleischmann-Pons効果を追試した世界的レベルの研究所は200以上ある。これについての論文は2500本ほどあり、論文審査のある学術専門誌に出たのは1000本ほど。
なお、ここで出てくる論文は以下で参照できるようです(素人にはハードルが高過ぎるサイトではありますが)。
http://www.lenr-canr.org/index.html

上記の1000本ほどの論文についてはコメント欄での問答をそのまま引用させていただきます。
■引用開始
「また、論文審査のある学術専門誌にでた1000本ほどの論文も肯定的なものなのでしょうか? 」

私のデータベースには、学術専門誌の論文の数は1600ぐらあります。
肯定的な実験結果を報告するのは、900か1000ぐらいです。(ある程度成功したとか、SN比の低いあいまいな結果もあります。私が疑問に思うのもあります。)
あとの600本は理論的なものや、結果が認められなかった報告です。
常温核融合に実験を分析して、問題を指摘しようとする否定的な論文はMorrison、Jones、ERAB調査グループなど、約10本あります。
(その論文はでたらめだと思いますが、LENR-CANRでお読みになった自分で判断してください。)
北アメリカ(カナダと米国)の研究グループが学術専門誌に出した論文を調査して、まったく効果が認められなかったと報告した論文の数と研究員の数をリストにまとめました:
■引用終了
また、「追試した世界的レベルの研究所は200以上」という件についてJed氏が以下のように補足してくれています。
(J>がJed氏の発言、Q>が質問者の発言です)
■引用開始
J>Fleischmann-Pons効果(常温核融合)を追試した世界的レベルの研究所は200以上あります。
J>これに付きの論文は2500本あって、論文審査のある学術専門誌に出たのは1000本ほどあります。
Q>教えてほしいのですが、肯定的な結果の追試が200以上あるのでしょうか?

J>その200というのは、E. Stormsの本の表1に記載された実験の数です。
J>Stormsが分析して要約データをまとめたわけです。表1に載ってない実験もいくらかあります。
J>「実験」と言っても、一回だけ行ったわけではありません。たとえば、
J>TAMU(テキサス州立大学)では一回につき、セルを100本同時に試して、そのテストを数年にわたって毎月繰り返しました。
■引用終了
この中に出てくるE.Stormsの本とは、おそらく以下だと思います。PDFに全文が掲載されているようですので、興味のある方は是非ご覧ください。

Abstract - More than 190 studies reporting evidence for the "cold fusion" effect are evaluated. New work has answered criticisms by eliminating many of the suggested errors. Evidence for large and reproducible energy generation as well as various nuclear reactions, in addition to fusion, from a variety of environments and methods is accumulating. The field can no longer be dismissed by invoking obvious error or prosaic explanations.
この論文は1996年時点で判明している成果を概観するのに便利です。「TABLE 2」には、様々な過剰熱発生のケースが分類してあります。荒田博士の実験で重水(D2O)とPd(パラジウム)を使った電気分解方式が有名になりましたが、他にも色々な方式がある事が分かります。以下、論文からの引用です(文字化けがあると思うので気になる人は元論文PDFを参照してください)。巻末には11ページに及ぶ参考文献リストがあります。
■引用開始
TABLE 2
Methods Claimed to Produce Excess Energy
(Reported useful temperatures listed)
Electrolysis of D2O-based electrolyte using a Pd cathode (20-100 "C).
Electrolysis of H2O-based electrolyte using a Ni cathode (20-100 "C).
Electrolysis of KCl-LiCl, D electrolyte using a Pd anode (450 "C).
Various solid compounds in D, (700-800 "C).
Gas discharge using Pd electrodes in hydrogen.
Gas discharge using Pd electrodes in deuterium (<>
Gas reaction with Ni under special conditions (400 "C).
Enhanced reaction involving D2O and various metals using an acoustic field.
Enhanced reaction in H2O using microbubble formation (20-100 "C).
Reaction of finely divided palladium with pressurized deuterium gas.
■引用終了
如何でしょうか?
私は専門家ではないので、論文の中身の妥当性判断はできません。しかし、これだけの多様な研究者が多様な研究成果を20年に渡って積み重ねてきている事実は重いと考えます。これが私が固体核融合を「科学」と信じる理由です。
もし固体核融合を似非科学と断じるのであれば、これらの論文で示された実験のどこが間違っているのか、あるいは、実験結果を認めるとして従来の理論だけで説明できるのかを具体的に指摘すべきだと思います。

以上

著名論文誌Physics Lettersに固体核融合(常温核融合)論文掲載

親子丼掲示板で教えて貰いました。
Physics Lettersという世界的に有名な論文誌に神戸大学の北村晃博士の論文が掲載されたとの知らせが以下に載っています。著名な論文誌では常温核融合関連の論文は色物扱いされて掲載が難しかったらしいのですが、ようやく認知が高まったのでしょうか。嬉しいニュースです。
また、この論文は、荒田吉明博士が公開実験されたシステムを詳細に評価・分析したものらしく、有名になった実験の再現確認が取られたという点でも意義があると思います。

以下、最初に報じていただいた記事から引用します。
■引用開始
2009/9/12        < 北村博士らの論文、Physics Lettersに掲載される>

 1ヶ月ほど前に、北村晃先生(神戸大学教授)の論文が有名な雑誌Physics Lettersに掲載されたとの連絡がJCF経由で高橋亮人先生(大阪大学名誉教授)から入りましたので、お知らせします。。

http://dx.doi.org/10.1016/j.physleta.2009.06.061
“A. Kitamura et al, Anomalous effects in charging of Pd isotopes with high density hydrogen isotopes”

この研究は高橋先生やテクノバとの共同研究であり、< JCF9報告 >で高橋先生が発表された内容とほぼ同一と思われます。つまり荒田先生らの実験の再現成功(He4の発生と過剰熱発生)とその詳細なる物理的考察が中心になっているようです。

 Physics Lettersに常温核融合の論文が掲載されたことは画期的なことだといえます。
■引用終了

上記で言及されている<JCF9報告>とは、同じサイトの以下の記事を指していると思われます。該当部分を引用します。s
■引用開始
●佐々木氏(神戸大学)
 荒田吉明先生の実験の再現実験に関する研究。双子構造をもつ新装置を作成し、ナノサイズPd粒子も様々な種類のものを使ってArata実験をさらに詳細に調査。熱出力、圧力等の詳細な実験データを提示。Arata実験の再現に成功。
本実験は神戸大学、高橋亮人先生、テクノバの共同研究。

●高橋亮人先生(大阪大学)
 上の佐々木報告に追加する形の詳細説明。Arata実験が再現できたことを補正の効果などを交えて説明。重水素ガスを流した方が軽水素ガスの場合よりはるかに多くの過剰熱が出ている。中性子やガンマー線の発生はなし。ナノサイズの複粒子Pd/PdO2/ZrO2粒子(これに重水素を通すと過剰熱発生)の特殊な物性にも言及。メゾスコピック効果がどうの。
■引用終了
ちなみに、上記のリンク(http://dx.doi.org/10.1016/j.physleta.2009.06.061)を見ると掲載誌・題名・著者・概要は以下のように記載されています。

Physics Letters A
Volume 373, Issue 35, 24 August 2009, Pages 3109-3112

題名
Anomalous effects in charging of Pd powders with high density hydrogen isotopes

著者
Akira Kitamuraa, Takayoshi Nohmia, Yu Sasaki, Akira Taniike, Akito Takahashi, Reiko Seto and Yushi Fujita

Abstract
A twin system for hydrogen absorption experiments has been constructed to replicate the phenomenon of heat and 4He generation by D2 gas absorption in nano-sized Pd powders reported by Arata and Zhang, and to investigate the underlying physics. For PdZr oxide nano-powders, anomalously large energies of hydrogen isotope absorption, 2.4±0.2 eV/D-atom and 1.8±0.4 eV/H-atom, as well as large loading ratio of D/Pd=1.1±0.0 and H/Pd=1.1±0.3, respectively, were observed in the phase of deuteride/hydride formation. The sample charged with D2 also showed significantly positive output energy in the second phase after the deuteride formation.


ちなみに、こういうニュースを見ても、Physics Lettersの価値(権威)が分からないのが素人の悲しさです。ちょっとググってみた所、Physics Letters A と Physics Letters B があってカバーする分野が異なるようですが、B誌については以下のような記事がありました。非常に権威のある論文誌のようです。また、ここで集計されているランキングにも注目ですね。10月になったらチェックしてみなければ。

■引用開始
 基礎教育センターの 志摩一成 教授の研究論文: On Origin of Mass and Supersymmmetry (邦訳:「質量の起源と超対称性」)が素粒子理論の分野で「世界で最も有名な論文雑誌」の一つであるPhysics Letters B 誌において、2007年1-3月期の理論部門第四位(総合14位)にランクインしました。ランクインしたのは Science Direct 社が 集計している 「Top 25 hottest articles」というランキングです。
 ランキングの仕組みなど、詳しい内容は以下のリンクから辿ることが出来ます。

Science Direct - www.sciencedirect.com -

 論文が掲載された Physics Letters B という論文雑誌は「Review of Particle Physics」という、素粒子物理学者にとってバイブルと言えるデータブックを出版している、世界有数の老舗論文誌です。
■引用終了
また、水野忠彦博士が常温核融合関連の研究経緯を詳しく語ってくれている「常温核融合プロジェクト」にもPhysics Letterへの投稿した経験が語られていました。この時は、レフェリーの壁に阻まれてしまったとの事。9年を経て物理研究者のコミュニティでの認識が変わりつつあると思って良いのかもしれませんね。
■引用開始
2000 年にはICCF-8(Lerici)で電解と真空の重水素透過法について発表することができた。岩村は不純物と間違わない元素の検出ということで、Cs を使って実験したのだ。この時決定的といえるPr を検出する。この元素は自然界ではきわめてまれで、他の元素と違って、不純物ということがない。さらにまた、Sr を使った場合には同位対比の違うMo を検出することができた。この結果は論文にしてNature に投稿するが、他の研究者が、皆経験させられた、レフェリーとの果てしない戦いになるのであった。結局Nature は査読に入る前に拒否したのであった。またPhysics Letter は、いい線まで行ったが、一人のレフリーが拒否し、結局掲載不可となり、発表の機会を奪われることになる。
■引用終了
以上

ICCF-15 ローマで10月上旬に開催

第15回凝集系核科学国際会議が来る2009年10月5日~9日にローマで開催されるようです。

以下のページに発表予定のプログラムがおかれていました。

以下、中身を引用します(改行など改変しています)。
日本人研究者と思われる方々の所に★印を付けてみました。ちゃんと確認できていませんが、おそらく以下の方々ではないかと思います:高橋亮人先生、北村晃先生(神戸大学)、岩村康弘先生(三菱重工)、荒田吉明先生、鳥谷部祐先生(東北大学)、日置辰視先生(豊田中央研究所)、佐々木先生(神戸大学)、水野忠彦先生。


【MONDAY 5, OCTOBER, 2009】

08:00 - 09:00 Registration

OPENING

09:00 - 09:30 V. Violante (Chair)
S. Lesin (Co-Chair)
M. Fleischmann (Onorary Chair)
ENEA Representative
09:30 - 09:50
09:50 - 10:10 L. Campanella (President Societa Italiana Chimica) S1_O1
10:10 - 10:30 E. De Sanctis (Vice-President of SIF)

10:30 - 10:45 Coffee Break

SESSION 1: FLEISCHMANN & PONS EXPERIMENT

10:45 - 11:15 S1_O2 R.V. Duncan
11:15 - 11:45 S1_O3 M. McKubre
11:45 - 12:15 S1_O4 G. Hubler
12:15 - 12:45 S1_O6 V. Violante
12:45 - 13:15 S1_O7 S. Lesin

13:15 - 14:30 Lunch

14:30 - 14:50 S1_O8 P.L. Hagelstein
14:50 - 15:10 S1_O5 D.L. Knies
15:10 - 15:30 S1_O9 M.H. Miles
15:30 - 15:50 S1_O10 W.S. Zhang

15:50 - 16:05 Coffee Break

SESSION 2: THEORY (I)

16:05 - 16:30 S2_O1 P.L. Hagelstein
16:30 - 16:55 S2_O2 Y.E. Kim
16:55 - 17:20 S2_O3 A. Huke
17:20 - 17:45 S2_O4 ★A. Takahashi
17:45 - 18:05 S2_O5 C. Sibilia
18:05 - 18:15 S2_O6 I. Dardik

POSTER SESSION

18:15 - 19:00 P_1 → P_41

19:15 Reception at Castel Sant’Angelo


【TUESDAY, 6 OCTOBER, 2009】

SESSION 3: NUCLEAR INSTRUMENTS (I)

08:30 - 08:50 S3_O1 M.L. Apicella
08:50 - 09:05 S3_O2 ★A. Kitamura
09:05 - 09:20 S3_O3 D.D. Afonichev
09:20 - 09:40 S3_O4 C. Rosada
09:40 - 10:00 S3_O5 ★Y. Iwamura
10:00 - 10:30 S3_O6 K. Grabowsky

10:30 - 10:45 Coffee Break

SESSION 4: GAS LOADING

10:45 - 11:15 S4_O1 ★Y. Arata
11:15 _ 11:35 S4_O2 F. Scaramuzzi
11:35 _ 11:55 S4_O3 F. Celani
11:55 _ 12:05 S4_O4 X.Z. Li
12:05 - 12:35 S4_O5 D. Gozzi
12:35 - 13:05 S4_O6 D.A. Kidwell

13:05 - 14:30 Lunch

SESSION 5: NUCLEAR INSTRUMENTS (II)

14:30 - 14:55 S5_O1 A.G. Lipson
14:55 - 15:20 S5_O2 J. Kasagi
15:20 - 15:45 S5_O3 K. Czerskii
15:45 - 16:00 S5_O4 ★Y. Toriyabe
16:00 - 16:10 S5_O5 R.M. Montereali
16:10 - 16:30 S5_O6 M. Angelone

16:30 - 16:45 Coffee Break

SESSION 6: NUCLEAR INSTRUMENTS (III)

16:45 - 17:05 S6_O1 U. Mastromatteo
17:05 - 17:25 S6_O2 M. Srinivasan
17:25 - 17:45 S6_O3 Y.N. Bazhutov
17:45 - 17:55 S6_O4 A. Petrucci
17:55 - 18:05 S6_O5 A. Carpenteri
18:05 - 18:15 S6_O6 A.B. Karabut

POSTER SESSION

18:05 - 18:30 P_1 - P_41

18:45 Concert at Basilica San Bartolomeo all’Isola


【WEDNESDAY, 7 OCTOBER, 2009】

SESSION 7: MATERIAL SCIENCE

08:30 - 09:00 S7_O1 G. Barbieri
09:00 - 09:20 S7_O2 S. Tosti
09:20 - 09:40 S7_O3 A. Santucci
09:40 - 09:55 S7_O4 ★T. Hioki
09:55 - 10:10 S7_O5 ★Y. Sasaki
10:10 - 10:25 S7_O6 B.L. Liu
10:25 - 10:45 S7_O7 F.L. Tanzella
10:45 - 11:00 S7_O8 ★T. Mizuno

11:00 - 11:15 Coffee Break

SESSION 8: THEORY (III)

11:15 - 11:35 S8_O1 F. Frisone
11:35 _ 11:50 S8_O2 N.D. Cook
11:50 - 12:05 S8_O3 S.R. Chubb
12:05 _ 12:20 S8_O4 T.A. Chubb
12:20 - 12:35 S8_O5 J. Dufour
12:35 - 12:50 S8_O6 D. Alexandrov

12:50 - 14:00 Lunch

14:00 Social Tour

POSTER SESSION

18:00 - 20:00 P_1 - P_41

20:00 IAC Meeting

【THURSDAY, 8 OCTOBER, 2009】

SESSION 9: THEORY (III)

08:30 - 08:50 S9_O1 E. Storm
08:50 - 09:10 S9_O2 A. Meulenberg
09:10 - 09:30 S9_O3 M. Melich
09:30 - 09:50 S9_O4 D.G. Tasker
09:50 - 10:05 S9_O5 P.L. Chernov
10:05 - 10:20 S9_O6 V.I. Vysotskii
10:20 - 10:35 S9_O7 G.H. Miley
10:35 - 10:55 S9_O8 T. Bressani
10:55 - 11:15 S9_O9 D.J. Nagel

11:15 - 11:25 Coffee Break

ROUND TABLE ON THEORIES

11:25 - 13:30

13:30 - 15:00 Lunch

ROUND TABLE ON FUTURE PERSPECTIVES

15:00 - 18:15

POSTER SESSION AND CMNS MEETING

18:15 - 19:30 P_1 - P_41

20:00 Social Dinner at Palazzo Brancaccio

【FRIDAY, 9 OCTOBER, 2009】

SESSION 10: MATERIAL AND CHARACTERIZATION

08:30 - 08:50 S10_O1 F. Sarto
08:50 - 09:10 S10_O2 A. Lipson
09:10 - 09:30 S10_O3 J. He
09:30 - 09:50 S10_O4 E. Castagna
09:50 - 10:10 S10_O5 E. Bemporad
10:10 - 10:30 S10_O6 R. Li Voti
10:30 - 10:40 S10_O7 A.S. Roussetski
10:40 - 10:50 S10_O8 L. Caneve

10:50 - 11:05 Coffee Break

ENDING

11:05 - 13:00

2009年9月20日日曜日

ミズーリ大学の固体核融合に関するセミナー

2009年7月2日にTBSで「CBSドキュメント 常温核融合の可能性」という番組が放映されました。


これは米国CBSの"60 Minutes"というシリーズ番組で"Cold Fusion is Hot Again"と題して放映されたものの和訳版でした。

この番組の中では、米国ミズーリ大学のロバート・ダンカン博士が中立の立場から固体核融合実験の妥当性評価を依頼されています。ダンカン博士は固体核融合実験結果を報告したイスラエルのEnergetics Technologies社を訪問し、2日間にわたって実験状況を詳しく検証し、結果として過剰熱発生は本物であると結論付けました。

ダンカン博士はミズーリ大学の研究副学長?(Vice Chancellor for Research)の職にあるらしく、2009年5月29日に開催されたミズーリ大学のセミナーで固体核融合を取り上げました。

その時のプログラム、講演ビデオ、資料(PPT)は以下に掲載されています。
※ 以下、括弧内は私の拙い和訳です。誤解や誤訳があればご指摘いただけると幸甚です。

Vice Chancellor for Research Seminar Series
(研究副学長?セミナーシリーズ)
Excess Heat and Particle Tracks from Deuterium-loaded Palladium
(重水素吸蔵パラジウムからの過剰熱と粒子の飛跡)

このセミナーの最初の3つの講演資料は概説や過去の経緯を振り返るページが多く、素人にとっても少しは興味の持てる内容になっています。但し、ファイルサイズが大きいのでダウンロードする際にはご注意を。

12:30 - 1:00 pm
[1] Welcome, Summary, and Observations
Robert V. Duncan, Ph.D., University of Missouri
(PowerPoint 2007形式! 約1.3MB)

1:00 - 2:30 pm
[2] Twenty-Year History of Lattice-Enabled Nuclear Reactions Using Pd/D Co-deposition
Mr. Lawrence Forsley, President, JWK International Corporation
Pamela A. Mosier-Boss, Ph.D., Advanced Systems and Applied Sciences Division of SSC-Pacific
Frank E. Gordon, Ph.D., Head, Research and Applied Sciences Department, US Navy SSC-Pacific
http://research.missouri.edu/vcr_seminar/spawar.ppt
(上のリンクは切れています。下のリンクからダウンロードしました)
(PowerPoint 約10.4MB)

2:45 - 3:15 pm
[3] An Informed Skeptic's View of Cold Fusion
Edmund K. Storms, Ph.D., KivaLabs, LLC, Santa Fe, NM and Greenwich, CT
(PowerPoint 約5.2MB)


自分の理解を深めるために上記の[1]を勝手に抄訳してみました。
物理の素人で、かつ、英語力もありませんので、誤解・誤訳がありましたらご指摘お願いします。

**Page 1: Prospects for the Discovery of New Energy Science
(新しいエネルギー科学の発見に向けて)


**Page 2: Cold Confusion Why such a surprise in 1989?
(常温核融合がなぜ1989年に驚きをもって迎えられたのか)
First report of a possible nuclear fusion in palladium loaded with heavy hydrogen: Berlin, Germany, September 17, 1926 by Professors Paneth and Peters
(重水素を吸蔵したパラジウムで核融合が起こっている可能性を始めてレポートしたのはPaneth教授とPeters教授で、1926年9月17日の事だった)
Detection of confirmed nuclear fusion in liquid heavy hydrogen at -422F (-252C) in Russia, Berkeley and other places from 1954 to 1959. This fusion is catalyzed by naturally occurring muons (next slide)
(1954年から1959年にかけて-252度の液体重水素内での核融合が確認された。この核融合は自然界に発生するミューオンが触媒となって起こる)


**Page3: Cold (Muon-Catalyzed) Fusion
(ミューオンが媒介する常温核融合)
「Catalysis of Nuclear Reactions between Hydrogen Isotopes by μ Mesons」
(論文の題名:ミューオン中間子が触媒となって起こる水素同位体間の核反応)

μ- mesons are 207 times more massive than an electron, have a 2.2 μs half-life, and shower the earth at an average rate of one per cm2 per minute near the speed of light
(ミューオンは電子の207倍の質量を持ち、半減期が2.2マイクロ秒。平均して1分間に1平方センチに1個の割合で光速に近いスピードで地球に降り注いでいる)
<略:ミューオンが核融合を引き起こす仕組みが述べられている>

Notice... COLD FUSION!, but no energy technology impact, since muons are so expensive to create artificially, and since their natural luminosity is far too low.
(注意:これは常温核融合だ。しかし、エネルギー源としての魅力はない。なぜなら、ミューオンを人工的に作り出すコストは非常に高く、また、自然に存在する密度では全く足りないからだ)


**Page4: Cold Confusion, but now in the‘Age of Mass Media’
(常温核融合はようやくマスメディアに載せる時代に)
Pons and Fleischmann (PF), University of Utah Press Conference, March, 1989
(ポンズ博士とフライシュマン博士が1989年3月にユタ大学で記者発表)
- Very bad media strategy
(最悪のメディア戦略)
- A very negative reaction by the physics community especially within the United States
(特に米国内の物理学会からの非常に否定的な反応)
- Real science with possible profound engineering consequences, suddenly becomes a ‘pariah science’
(深淵な本物の科学になるかと思いきや、いきなり邪道科学へ)
- Fleischmann’s two regrets
(フライシュマン博士の2つの後悔)
About 200 ‘excess heat’ results from many independent labs repeat PF results, from 1989 to 2009
(1989年から2009年にかけて、多くの研究所から200以上の過剰熱を報告し、ポンズ・フライシュマン実験を再現)


**Page5: The 60 Minutes Story, 4/19/09
(09年4月19日のテレビ番組「60Minutes」のストーリー)

Visit to Energetic Technologies in Omer, Israel, in October, 2008:
(2008年10月にイスラエルのオメルにあるEnergetic Technologies社を訪問)
- Observed excess heat while I was there
(私はそこで過剰熱を注意深く調べた)
- Three different cell designs, all very different, all have reported excess heat in the past
(3つの全く異なるデザインのセルで過剰熱発生が報告されている)
- Five cells have reported excess heat exceeding 1,000,000 J from a 0.3g Pd foil electrode
(5つのセルは、0.3gのパラジウム箔の電極から百万ジュールを超える過剰熱を発生させた)
-- Chemical heat release would have been about 100 - 800 J
(化学反応では100~800ジュールくらいの熱しか発生しない筈)
-- (Heat out) / (Electrical energy in) = 25, 15 (rarely), 8, and less
(入力した電気エネルギーと過剰熱の比率は25倍、15倍(まれ)、8倍、それ以下だった)
- Quite similar results from many other labs in Italy, Russia, China, Germany, and the USA (mainly SRI and Navy)
(非常に良く似た結果が多くの研究所から報告されている。イタリア、ロシア、中国、ドイツ、米国(主としてSRIと海軍)の研究所だ)


**Page6: 実験装置の説明
<略>

**Page7: 実験装置の説明
<略>

**Page8: Excess Heat Result from ET in 2004
(2004年のET社での過剰熱発生の結果)
<略>
80時間に及ぶ熱発生のグラフが提示されている。


**Page9: Summary of Other Results
(他の結果のまとめ)
Heavy loading special Pd required: D/Pd > 0.85 (McKubre)
(重水素を高率で吸蔵したパラジウムが必要)
- Probably a surface effect
(おそらく表面で発生する現象)
- May depend on D deposited in voids
(たぶん空隙中に埋め込まれた重水素に依存する)
- Improved by surface roughness
(表面の粗さによって改善される)
-- Surface depressions, and ultrasound-induced surface roughening
(表面の凸凹さや超音波による表面を荒立たせ)
-- Careful surface studies are ongoing at the NRL
(表面の研究がNRLで継続中)
Many different methods of loading
(多くの異なる吸蔵方法がある)
- Electrolytic (as in FP)
(電解法)
- D+ ion bombardment of the Pd from discharge
(パラジウムへの重水素イオンの照射)
- D2 gas pressure on Zr-Pd nanoparticles
(ジルコニウム・パラジウム合金ナノ粒子への重水素ガス圧力)
- Co-deposition using electroforming technology
(?)
All have displayed excess heat
(全ての実験で過剰熱が発生)
- Excess heat release is quite variable, often with a long onset time from 10’s to 100’s of hours, and occasionally 10,000 times higher than would be expected from chemical origin
(過剰熱発生は不安定であり、発生までの時間は10秒から数時間、また、化学反応で予想される熱量の10万倍になる事もある)
- Gas-pressure loaded nanoparticles and co-deposition both report excess heat every time, while others are less likely.
(ガス圧力によるナノ粒子への吸蔵方式やco-deposition方式では再現性が高く、それ以外は再現性は落ちるようだ)


**Page10: Is the Excess Heat Effect Real?
(過剰熱は本物なのか?)
Specifically in cells loaded by electrolytic techniques that I observed at Energetic Technologies in Omer, Israel in October, 2008:
(具体的にセルに電解で吸蔵する方式についてET社で調べたこと)
- Recombiner concerns?
(再結合の懸念)
-- ET results take Pin = I*V, ignore recombiner heat
--- Hence excess heat reports are under-estimated
-- Volume chemical reaction?
-- Oxygen leak resulting in D-burn at cathode?
- Ground-loops or shorts?
(ループ又はショート)
-- Isolation transformer coupling on cathode resistivity measurements
-- Very good laboratory technique was observed
- Under-estimated input power?: Electrolytic Interrupter effect?
(入力電力の過小見積? Electrolytic Interrupter効果?)
-- 50 kHz measurement system sampling, > 20 kHz BW
-- Direct measurements with a 200 MHz BW scope
-- Any such effect is < 0.01% of near DC input power
-- Proposed calibrated physical source measurement


**Page11: Excess Heat Effect Appears to be Real
(過剰熱は本物に思える)
Even if input power is mis-measured due to an electrolytic interrupter effect...
(仮にelectrolytic interrupter効果により入力電力が誤計測されていたとしても)
... why didn’t it appear on the 200 MHz scope?
(なぜそれが200MHzスコープで観測されなかったのか?)
... what mechanism can store 50 kJ to 4 MJ of energy near a 0.3g Pd electrode for heat release a few hours or days later?
(どのような仕組みで50kJから4MJものエネルギーが0.3gのパラジウム電極に格納され、それが2~3時間から数日後に解放されるというのか?)
Even if some amazing new mechanism like this were to be discovered ...
(仮に驚くべき新たなメカニズムが発見されるのだとしても)
... it would be absent in the other methods of loading, all of which report excess heat
(他の方法で過剰熱発生したケースに通用するのだろうか)


**Page12: The Excess Heat Effect: far Greater than Chemical Heat Release
(過剰熱は化学反応による熱よりも遙かに大きい)
The ET Pd cathode mass was 0.3 g (2x10-3mole)
(ET社の実験のパラジウム電極の質量は0.3gだった)
Chemical release of heat:
(化学反応で発生する熱:)
- ΔH for Pd +D → PdD is about 43 kJ/mole
(パラジウムに重水素が吸蔵される時には43kJ/mole)
-- So about 100 J if this heat release was somehow delayed
(この熱が遅延して発生したとして、だいたい100J程度)
- ΔH for 2D2 + O2 → 2D2O is about 242 kJ/mole
(重水素と酸素が重水に変化する時には242kJ/mole)
-- So about 500 J of delayed released heat
(この熱が遅延して発生したとして、だいたい500J程度)
Many measurements show:
(多くの測定が示している事)
- Typical heat release per episode of 50,000 J
(典型的な1回の熱発生は5万J)
- Occasional heat release of over 1,000,000 J
(1百万Jの熱が発生する事もある)
Heat release is usually from ambient temperature to about 100 oC, with occasional reports of heat release up to the melting of Pd at 1,550 oC
(熱発生の温度は通常は100度までだが、時としてパラジウムの融点である1550度まで上昇したケースがある)

**Page13: So What is Going On?
(今何が起ころうとしているか?)
We don’t know ? it will take a lot of well controlled experiments to figure this out.
(良く分からない。多くの良く管理された実験がこの現象解明のために実施されるだろう)
The ‘excess heat’ appears to be real. That is enough to motivate serious study.
(過剰熱は本物に見える。これは本格的な研究を動機付けるに十分な現象だ)
- A hypothesis: Ignition through muon-catalyzed D + D fusion near (but not in) the Pd.
(仮説:パラジウムの中ではなく表面付近でミューオン触媒核融合が起こっている)
- Micro-craters found on the Pd surface by ET in Israel, and by Navy SPAWAR
(ET社と海軍SPAWARにより「マイクロクレーター」がパラジウム表面で見つかっている)
- New measurements of particle production (SPAWAR)
(SPAWARでは粒子の新しい計測方法が開発された)
Very little USA public funding means that there is little assurance that results will come available in the public domain, at least in the USA. Remember the transistor IP issues from the 1948 Bell Labs patent?
(少なくとも米国では公的な投資が少ししか行われていないので、得られる結果が公共の財産になる保証に乏しい。1948年のベル研特許から発生したトランジスタ発明の知的財産権の問題を思い出して欲しい)


**Page14: Muon-catalyzed Ignition?
(ミューオン触媒反応?)
<略>


**Page15: Evidence for Nuclear Processes?
(核反応の証拠?)
Micro-craters observed independently by Energetic Technologies and by SPAWAR
(マイクロクレーターがET社とSPAWARで独立して観察されている)
- Correlates with excess heat production, but no attempt yet to correlate areal crater density with total excess heat release, etc.
(過剰熱と関係はあるだろうが、クレーターの面積密度が過剰熱と関係しているとまでは言えない)
- Modeling by SPAWAR suggests that these craters could be of nuclear fusion origin
(SPAWARの考えているモデルでは、クレーター核融合によるものだ)
- Other descriptions exist for their origin, but few are compelling, in my opinion
(他の説明も考えられるが、説得力に乏しいと思う)
The D + D → 4He appears to be favored, with energy and momentum taken up by the lattice (no gamma!)
(金属格子によってエネルギー状態とモメンタムが引き上げられ、D+D→4Heが起こっているのかもしれない。しかもガンマ線発生無しに!)
- Mossbauer-like process, but electromagnetic, not phonon?
- Other possible quantum coherent mechanisms?
Other more complex nuclear processes?
(それとも他の複雑な核反応プロセスなのだろうか?)
Or possibly something that we totally don’t understand yet?
(それとも全く知られていない新たな現象なのだろうか?)


**Page16: SEM images from Energetic Technologies Ltd. in Omer, Israel
<略>
重水素を吸蔵したパラジウム表面にできたマイクロクレーターの写真です。

**Page17: SEMs Obtained for a Cathode Subjected to an E-Field Showing Micro-Volcano-Like Features
<略>
カソード電極にできたマイクロ火山の写真です。


**Page18: Any ‘Lessons Learned’ Here ?
(教訓は何か?)
There is a HUGE gap between new science discovery and useful engineered systems
(新しい科学の発見と役に立つ工学システムとの間には巨大なギャップがある)
- Don’t speculate wildly, manage expectations!
(過剰な期待は禁物、着実に予測しよう)
- Pursue basic science BECAUSE you don’t understand!
(まず基本的な科学に取り組もう。なぜなら何も分かっていないからだ)
- I really don’t know if this science will ever lead to energy production, but it is very important to find out systematically
(この科学がエネルギー生産に結びつくかどうかは分からない。しかし、仕組みの解明は非常に重要だ)
Mass media needs to approach new discoveries carefully in light of the first point above
(上記の最初の観点でマスメディアは新発見には注意深くアプローチすべきだ)
Research funding needs to become less dependent on the common assumptions within the culture of scientific communities, and much more courageous and objective
(研究投資は科学界の文化の中で共通理解が得られると思ってはいけない。もっと勇敢で客観的になるべきだ)
The Scientific Method is a wonderful thing, use it always, no exceptions!
(科学の手法は素晴らしい。いつもそれを忘れてはならない。例外なく!)


**Page19: Junk Science or Empirical Data?
(似非科学にならないためには実験データ)
Persistent observations, like excess heat in Pd - D and superconductivity above room temperature, should be treated as empirical evidence that our understanding of physics remains incomplete, as it probably always will be.
(パラジウム・重水素による過剰熱や常温超伝導のように根気強い実験の結果が証拠として扱われるべきであり、それは我々の物理に対する理解がまだ不完全だしこれからも不完全であり続けるだろう事を示している)
It is simply too convenient and counter-productive to dismiss these observations as ‘junk science’.
(これらの実験結果を似非科学と片付けてしまうのは安易で非生産的だ)
The Scientific Method is the only thing we have got, and fortunately it is the only thing that we need!
(科学的な手法は我々が取るべきものだし、それがあれば十分な筈だ)
- Simply apply the scientific method without prejudice, and go where the data leads you
(偏見無しに単純に科学的な手法を用いていこう。データが我々を導いてくれる)


**Page20: Media and Science Don’t Mix Well
(メディアと科学はうまく行かない)
Adaptation to the mass media generally drives science away from open inquiry per the scientific method, toward showcasing accomplishments in an attempt to win competitive resource allocations.
(マスメディアが関与してくると、科学的な手法を通じたオープンな議論から、リソースを勝ち取るための業績品評会へと誘導されてしまう)
Peer review is slow but very valuable when ‘associate editor’ appeal is permitted. Extreme peer pressure to conform to accepted funding norms has blocked important publications, but this is rare.
(associate editorアピールが許されているかぎり??、ピアレビューは時間がかかるが非常に価値ある方法だ。確立された規範を守らせようとするピアレビューによって重要な出版物への掲載が止められる事もあったが、これは稀だ)


**Page21: Path Forward
(これから)
Empirical approach to test scaling hypothesis
(実験によって仮説を検証する)
- Pursue all approaches, but prefer 100% ‘ignition’
(全ての手法を追究する。しかし100%の再現性が望ましい)
- Does it scale? If so, how?
(検証できるのなら、どのように?)
- Concurrent materials studies
(並行して材質の研究が必要だ)
-- What is ‘good’ palladium?
(どのようなパラジウムが適しているのか?)
-- Other
(その他の可能性)
- Will it provide at least 350% excess heat at adequately high temperature for efficient energy conversion?
(少なくとも350%以上の過剰熱が発生し、エネルギー変換に十分な高温になるだろうか?)
Explore for the fundamental mechanisms
(基本的な仕組みの解明)
- Empirical studies will provide important clues
(実験が解決の糸口となるだろう)
- Hypothesis-driven experimentation
(仮説検証型の実験)
- There may be many mechanisms, not just one.
(もしかすると一つではなく複数の仕組みがあるかもしれない)


以上

2009年9月19日土曜日

お試し

まずは始めてみます。
ちょっとお試し。
ブログに慣れてないので色々不手際があるかと思いますがご容赦ください。

試しにリンク書いてみます。これがバックリンクリストに表示されるのでしょうか? 使い方が良く分かっていないのでした・・・