2009年11月8日日曜日

水野博士のICCF-15の発表

前回の記事「INFINITE ENERGY誌のICCF-15レポート」で紹介した「Scientific Overview of ICCF15」に水野博士の発表の概要が載っていましたので紹介します。

■引用開始
Mizuno (Hokkaido University) reported a confirmation of his earlier observations that heavy oil heated (T > about 500°C) at high pressure (> 60 atmospheres) with hydrogen gas in the presence of a metal catalyst produced heat. Heat generation of up to 100 W was observed for several hours. The experiment is reproducible, but the heat production is not stable. Both X- and gamma radiations were observed, with a “weak” but “reasonably significant correlation between heat generation and radiation emission.” Three reasons were given why the observed heat cannot be chemical in origin. At high temperatures, hydrogenation reactions are endothermic, there are virtually no chemical fuels (oxidizers included) in the cell and the excess heats are too large to explain chemically.
■引用終了

以下、上記の勝手な和訳です。

■和訳開始
水野(北海道大学)は金属触媒があるとき高圧(60気圧以上)の水素ガスと加熱された(約500℃以上)重油が熱を発生させたという彼の以前の観測の確認を報告しました。最大100Wの熱発生が数時間観測されました。実験は再現可能ですが、発生する熱量は安定していません。X線とガンマ線の両方が観測されました。「弱い」とはいえ「熱発生と放射線放出に十分有意な相関関係」が認められる。観測された熱の起源が化学反応である筈がない3つの理由があげられました。高温では水素化反応は吸熱します。セルの中にどんな化学燃料(酸化剤を含ふ)も実質的にありません。過剰熱は化学的に説明できないくらい大きいです。
■和訳終了

ICCF-15の講演資料が公開されていますが、水野博士の発表資料は以下です。

http://iccf15.frascati.enea.it/ICCF15-PRESENTATIONS/S7_O8_Mizuno.pdf

上記の記事の中で重油(heavy oil)と書かれているのは、「フェナントレン」の事です。素人として興味があるのは、水野博士がどういう着想からフェナントレンと水素という組合せに行き着いたのかという点です。他の研究者が主にパラジウムやニッケルといった遷移金属を中心に研究を進めている中、どこをどう捻るとフェナントレンが候補として出てくるのか、非常に面白いですね。

以上

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