2010年3月30日火曜日

技術動向セミナーに常温核融合

どういう会社で、どういうセミナーなのか全く知らないのですが、日本テクノセンター社の技術動向セミナーのプログラムに常温核融合の文字がありました。驚くような話ではありませんが、意外だったのでメモしておきます。

http://blogj-techno.weblogs.jp/jtechno_online/2010/03/post-9bce.html

■引用開始
環境発電(エネルギー・ハーベスティング)の国内外技術動向・応用例とそのビジネスチャンス (共催セミナー)
*概要
・様々な環境発電技術と適用例を分かりやすく解説するとともに、どのような条件で、どの発電方式が最も有利なのか、技術開発の課題、将来有望な市場等、事業化のポイントを詳解!
*会 場 
TIME24ビル 2F 会議室B 【東京・江東区】
*日 時 
平成22年5月31日(月) 12:30~16:30
*定 員 
20名 ※満席になりましたら、締め切らせていただきます。早めにお申し込みください。
*聴講料 
1名につき49,980円 (税込、資料付)
■引用終了

常温核融合が出てきているのは、プログラムの以下の部分です。

■引用開始
3.ユビキタスネット向け電源技術
   3‐1 エネルギー変換技術の大分類
         ・開放系    - 熱機関/燃料電池/常温核融合/その他
         ・閉鎖系    - 環境発電
         ・独立系    - 一次電池/原子力電池/その他
■引用終了

以上

Michael McKubre博士のラジオインタビュー

常温核融合の研究者として有名なMichael McKubre博士(SRI International)がScienceFridayというラジオ番組に出演されました。先日開催された米国化学会に出席した科学者数名に電話インタビューする趣向だったようです。

この番組のページは以下にあります。

http://www.sciencefriday.com/program/archives/201003261
Friday, March 26th, 2010
Chemistry Roundup

この番組の音声を以下からダウンロードできます。




開始後13分くらいの所からがMcKubre博士のインタビューです。残念ながら私には殆ど聞き取れませんが、Jed氏が賞賛していたので、英語ヒアリングできる方は是非どうぞ。

以上

2010年3月23日火曜日

米国化学会での常温核融合研究者の会見

米国のサンフランシスコで第239回米国化学会が始まったようです。
以前の記事でもお伝えしたように、3月21日AMから常温核融合に関する発表が行われています。

これに先立って、常温核融合研究者の会見が行われたらしく、幾つか記事が出ています。驚いたのは、Twitterでこの記事を引用する人の多さです(と言っても100人程度かとは思いますが)。世の中の認識は確実に変わりつつあるようです。

■最もTwitterでの引用が目についた記事
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-03/acs-fm030810.php
Public release date: 21-Mar-2010
'Cold fusion' moves closer to mainstream acceptance

■記者会見の動画
http://www.ustream.tv/recorded/5620243
“Cold fusion” moves closer to mainstream acceptance

■別記事
http://www.greencarcongress.com/2010/03/miley-20100322.html
Researcher Describes Conceptual Cold Fusion “Battery”, or Small Power Unit
22 March 2010

■この記事は水野忠彦博士のフェナントレンを使った常温核融合研究を載せています。
http://www.tgdaily.com/general-sciences-features/49006-cold-fusion-is-real-say-scientists
Cold fusion is real, say scientists
EMMA WOOLLACOTT | Mon 22nd Mar 2010, 04:49 am

■引用開始
And Tadahiko Mizuno of Hokkaido University in Japan claims he's developed an unconventional cold fusion device that uses phenanthrene, a substance found in coal and oil, as a reactant. He reports on excess heat production and gamma radiation production from the device.
"Overall heat production exceeded any conceivable chemical reaction by two orders of magnitude," Mizuno says.
■引用終了

以上

2010年3月22日月曜日

最近の常温核融合関連の話題から

最近、常温核融合関連で色々な話題があって、なかなか考えも整理も追いつきません。まずは、バラバラと簡単に状況だけ報告させていただきます。

(1) リチャード・コシミズ氏と独立党による常温核融合の情報拡散ツール

コシミズ氏のブログ記事で、以下の3点セットが公開されました。
・SolidFusionチラシ.pdf
・SolidFusionマンガ.pdf
・SolidFusion論文概要.pdf
私も常温核融合の認知を広げたいと思っていますが、上記の内容には賛同できない部分があり、以下で幾つかコメントさせていただきました。問題と感じる点については、後日改めてまとめられればと思います。

■コシミズ氏のブログ記事
http://richardkoshimizu.at.webry.info/201003/article_34.html
荒田常温固体核融合技術を世に知らしめるために
2010/03/07 10:03

■独立党の掲示板
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/news/2092/1226647846/l50
【常温固体核融合】 荒田方式によるエネルギー革命への道


(2) 「よろんず」での常温核融合研究開発の支援提案

今回、初めて知りましたが「よろんず」というWeb誌のようなものがあって、そこにRichter氏という方が常温核融合(凝集系核融合)の研究開発へ公的な支援を提案される一文を寄稿されました。従来とは違った角度からのコメントがあって勉強になりました。

■よろんずの記事
http://www.the-journal.jp/contents/yoronz/2010/03/richter.html
Richter:新たなエネルギー革命を秘めた研究開発に国の支援を! ── 凝集系核融合反応熱を利用したクリーンエネルギー
日時: 2010年3月18日 13:04


(3) Journal of Nuclear Physicsに掲載された論文

vortex-lというメーリングリストへのJed Rothwell氏の投稿で知りました。Journal of Nuclear Physicsという2月頃に立ち上がったサイトに、Rossi氏とFocardi氏の論文が掲載され、その信頼性を巡って議論が起こっています。
論文は、ニッケルと(軽)水素を使った常温核融合実験で膨大な過剰熱の生成に成功したと主張しているのですが、実験方法の詳細が不明で、何とも評価のしようがない・・といった話になっているようです。Rossi氏は追加の情報を出す準備中らしいので期待して待つのが吉のようです。

■vortex-lのJed氏の記事
http://www.mail-archive.com/vortex-l@eskimo.com/msg38005.html

■Journal of Nuclear Physicsのサイト
http://www.journal-of-nuclear-physics.com/

■S. Focardi氏 と A. Rossi氏の論文
http://www.journal-of-nuclear-physics.com/files/Rossi-Focardi_paper.pdf
A new energy source from nuclear fusion
January 5, 2010


(4) Blacklight Power社が新たな論文を掲載

常温核融合のコミュニティでは余り信頼されてない感じのするBlacklight Power社のサイトに新たな論文が掲載されました。常温核融合とは違った原理を主張しており、どう評価して良いのか分かりませんが、色々実績を出してきているようなので気になります。

■Blacklight Power社の新着情報
http://www.blacklightpower.com/new.shtml

Blacklight has released engineering papers on the Thermally Coupled Multi-Cell Reactor System, the Continuous Thermal Power System, and BlackLight Power Motive. Also view Engineering Presentation. 03/19/10

Press Release: BlackLight Announces First Commercial License in Europe with GeoEnergie SpA, Energy Subsidiary of Geogreen- Non-Exclusive License To Produce Up To 750 MW of Continuous Power 03/19/10


(5) 槌田敦 vs 日本気象学会 損害賠償請求裁判

3月18日に表題の裁判の判決言渡しがあり、原告の敗訴となったようです。この裁判は学会のあり方について、非常に興味深い問題提起をしており、科学に興味を持つものとして見逃せない内容です。じっくり判決文を読まねばと思ってます。

■住田朋久氏のブログ
http://d.hatena.ne.jp/sumidatomohisa/20100321/1269171247
槌田敦 vs 日本気象学会 損害賠償請求裁判 判決

■原告側弁護士 柳原敏夫氏の報告
http://song-deborah.com/case1/


以上

2010年3月14日日曜日

JCF10の聴講報告(一部)が「常温核融合は本当だった!」に掲載

去る3月5日と6日にJCF10(日本固体内核反応研究会第10回大会)が無事に開催されたようです。

常温核融合は本当だった! その13」のページに「< JCF10報告 >」として3件の発表の聴講報告が載っていますので、興味のある方はご覧ください。

この中に、「Abraham-Lorentz-Dirac Equation in Quantum mechanics:The Beginnig of Weakened Coulomb Potential 」という首都大学東京の笹部先生と、東京農大?の尾崎先生の発表が取り上げられており、この成果がPhysical Review誌に載ったとの記事がありました。
検索してみたところ以下の論文のようです。残念ながら中身は全く分かりません!

http://pra.aps.org/abstract/PRA/v80/i2/e024102
Phys. Rev. A 80, 024102 (2009) [3 pages]
Abraham-Lorentz equation in quantum mechanics
URL:
http://link.aps.org/doi/10.1103/PhysRevA.80.024102
DOI:
10.1103/PhysRevA.80.024102
PACS:
03.65.Sq

以上

MIT,カーボン・ナノチューブを用いた新しい発電現象を発見

今回も常温核融合とは関係なさそうなのですが、面白い記事があったので紹介します。
MITがカーボン・ナノチューブを使った新しい発電現象を発見したとのニュースです。重量比でリチウムイオンバッテリーの100倍のエネルギー量というのも凄いですが、理論での予測値よりも大きなエネルギーが発生している所が謎です。常温核融合もナノテクノロジーとの関係が重要だと思いますが、ここでもナノ単位の世界で不思議な現象が起こっているようです。

以下、Webで見つけた記事からの引用です。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20100309/180910/
MIT,カーボン・ナノチューブを用いた新しい発電現象を発見
2010/03/09 04:13
野澤 哲生=日経エレクトロニクス

■引用開始
具体的には,多層カーボン・ナノチューブ(MWCNT)を,プラスチック爆弾の主材料として知られるシクロトリメチレントリニトロアミン(RDX)でコーティングし,その一端にレーザ半導体で「火」をつける。すると,熱の波が導火線のようにMWCNT上を高速に移動する。その移動速度は温度2860Kの場合に2m/s以上で,「一般の化学反応速度の1万倍」(MIT)である。Strano氏らは,この波と同時に非常に大きな電力が作り出されることを発見した。
■引用終了

MITからの発表資料は以下にあります。

http://web.mit.edu/newsoffice/2010/thermopower-waves-0308
Big power from tiny wires
New discovery shows carbon nanotubes can produce powerful waves that could be harnessed for new energy systems.
David L. Chandler, MIT News Office
March 8, 2010
■引用開始
In the group’s initial experiments, Strano says, when they wired up the carbon nanotubes with their fuel coating in order to study the reaction, “lo and behold, we were really surprised by the size of the resulting voltage peak” that propagated along the wire.
After further development, the system now puts out energy, in proportion to its weight, about 100 times greater than an equivalent weight of lithium-ion battery. 
The amount of power released, he says, is much greater than that predicted by thermoelectric calculations. While many semiconductor materials can produce an electric potential when heated, through something called the Seebeck effect, that effect is very weak in carbon. “There’s something else happening here,” he says. “We call it electron entrainment, since part of the current appears to scale with wave velocity.”
■引用終了

■勝手な和訳開始
グループの初期実験でこの反応を研究するために燃料コーティングされたカーボンナノチューブから電気を取り出したとき、「びっくりしました。ワイヤに伝播されたピーク電圧が非常に大きかったのです」とStrano氏は言う。
さらに研究を続け、現在では重量比でリチウムイオンバッテリーより約100倍大きいエネルギーを出している。
取り出されたパワーの大きさが熱電気の理論で予測されたものより遥かに大きいと彼は言う。 ゼーベック効果と呼ばれる何かの現象で、多くの半導体は熱せられて電気を発生するが、その効果は炭素では非常に弱い。 「何か別の現象が起こっています。」と、彼は言う。 「波速に比例して電流が強くなるようなので、私たちは、それを電子同伴と呼びます。」
■勝手な和訳終了


原論文は以下から参照できるようです。

http://www.nature.com/nmat/journal/vaop/ncurrent/abs/nmat2714.html
Article abstract
Nature Materials
Published online: 7 March 2010 | doi:10.1038/nmat2714
Chemically driven carbon-nanotube-guided thermopower waves

以上

2010年3月6日土曜日

水トリーと常温での核反応の関係

常温核融合は本当だった! その13」に水トリーと呼ばれる電力ケーブルの特異な劣化現象が常温での核反応起源のものではないかとの仮説を検討している研究の話が出ています。検索してみたら、日本原子力学会での発表論文の抄録が見つかりましたので、まとめて引用させていただきます。


■引用開始
2009/9/20                   < 水トリー >
電力ケーブルに発生する水トリーという特異な現象がありますが、その水トリーを中部電力・熊澤孝夫氏らは常温核融合の視点から研究しています。熊澤氏の研究は当HPでこれまで何度も紹介してきました。
Tさんによると、なんと先日の東北大学で開催された原子力学会で熊澤氏らが新しい発表を行ったとのことです!
日本原子力学会「2009年秋の大会」 東北大学 青葉山キャンパス 9/16~9/18
中部電力の熊澤孝夫氏と大阪府立大学の谷口良一氏の共同研究であり、「水トリー発生に伴う放射線の計測」というタイトルで2人がそれぞれ発表されています。
Tさんによれば、その発表は
水トリー生成後(生成中の抜き打ち測定も実施)の試料から、測定開始直後に鉛とビスマス特有のガンマ線放出が観測されたこと、最大でバックグラウンドの1.5倍に及ぶそうですが生成源は特定できていないこと、時にバースト状にガンマ線放出が起こることもあった。
という内容であったそうで、実験は1000時間にもおよぶ連続実験でおおがかりなものであったようです。
水トリーとは架橋ポリエチレン(XLPE)を絶縁体に用いた電力ケーブルで起こる特異な劣化現象のことです。
この発生原因はまだよくわかっておらず様々な説が出され決定打のないまま来ているわけですが(例えば-->こちら)、熊澤氏と谷口氏はそれを従来とは異なった視点、つまりCold Fusion的な視点から研究されていて、ユニークな成果を発表されつづけています。
聴講者から批判も出たようですが、それでも実験で水トリーを発生させたサンプルからガンマー線などの放射線が観測されたという結果は注目に値します。常識的な電力研究者なら、放射線が発生するなど夢にも思わない!となるでしょうから。
水トリーは常温核融合とほんとうにつながっているのでしょうか?
それとも放射線発生は別のものからなのか・・?
今後の研究に期待したいところです。
■引用終了


以下、日本原子力学会の発表論文の抄録から、谷口良一氏と熊澤孝夫氏のものを抜き出してみました。2003年以前から研究は始まっているようで、段々と検証が具体化されている様子が分かります。ただ、水トリー発生の規模と核反応現象の間に明確な相関は見い出せていないとの事で、まだ謎の解明には時間がかかりそうです。


日本原子力学会 2003年秋の大会

http://www.jstage.jst.go.jp/article/aesj/2003f/0/2003f_070/_article/-char/ja/
水トリー発生に伴う放射線の計測(2)
谷口 良一1), *熊澤 孝夫2)
1) 大阪府立大学
2) 中部電力
Abstract  電力ケーブルの絶縁破壊を引き起こす水トリーの発生と微弱な放射線の発生の関係を精密に検討した。その結果、水トリーの発生・進展時に、放射線の発生を伴う未知の物理的もしくは電気化学的な現象を伴っている可能性を示唆するデータが得られた。


http://www.jstage.jst.go.jp/article/aesj/2003f/0/2003f_071/_article/-char/ja/
水トリー発生に伴う放射線の計測(3)
*谷口 良一1), 熊澤 孝夫2)
1) 大阪府立大学
2) 中部電力
Abstract  架橋ポリエチレン絶縁体中の水トリー発生に伴う微弱な放射線の発生の観測を行った。低バックグランド環境で人為的に水トリーを発生させ、中性子およびγ線を観測した結果、バースト状のγ線と思われる放射線の発生の兆候が見られた。


日本原子力学会 2005年秋の大会 

http://www.jstage.jst.go.jp/article/aesj/2005f/0/2005f_75/_article/-char/ja/
水トリー発生に伴う放射線の計測 (4)
*熊澤 孝夫2), 谷口 良一1)
1) 大阪府立大学放射線研究センター
2) 中部電力電力技術研究所 
Abstract  電力ケーブルの絶縁破壊を引き起こす水トリーの発生と微弱な放射線、電磁波等の発生の関係を精密に検討した。その結果、水トリーの発生時に放射線を伴う物理的もしくは電気化学的な現象を伴っている可能性が示唆された。


日本原子力学会 2006年春の年会 

http://www.jstage.jst.go.jp/article/aesj/2006s/0/2006s_75/_article/-char/ja/
水トリー発生に伴う放射線の計測 (5)
水トリー劣化試料中の微弱放射性核種の測定
*熊澤 孝夫1), 谷口 良一2)
1) 中部電力
2) 大阪府立大学
Abstract  CVケーブルの主要な劣化形態である水トリーの発生・進展にともなって放出される微弱な放射線の計測を行った。課電後(水トリー劣化後)の試料に着目して微弱放射線測定を行った結果、明確な核種は同定されなかったが、陽電子消滅によると見られるγ線のピークの僅かな増加が観測された。


日本原子力学会 2007年秋の大会 

http://www.jstage.jst.go.jp/article/aesj/2007f/0/2007f_90/_article/-char/ja/
水トリー発生に伴う放射線の計測 (6)
*熊澤 孝夫1), 谷口 良一2)
1) 中部電力、電力技術研究所
2) 大阪府立大学、放射線研究センター
Abstract  電力ケーブルの絶縁破壊を引き起こす水トリーの発生に伴う微弱な放射線(中性子、γ線)、残留放射線、電磁波等の発生を精密に測定した。実験では、中性子検出器、X線検出器等を複数並べ同時計数を行った。電極試料に課電中(2.6kV,2kHe)、バックグランド時では見られない、低エネルギーのγ線もしくは電磁ノイズと思われる応答が幾つか観測された。ただし、水トリーの発生数、規模と放射線計数値の関係は単純ではない。


日本原子力学会 2008年秋の大会 

http://www.jstage.jst.go.jp/article/aesj/2008f/0/2008f_128/_article/-char/ja/
水トリー発生に伴う放射線の計測
(7)放射線の精密測定と残留放射線測定
*熊澤 孝夫1), 谷口 良一2)
1) 中部電力 電力技術研究所
2) 大阪府立大学 放射線研究センター
Abstract  電力ケーブルの絶縁破壊を引き起こす水トリーの発生に伴う微弱な放射線(中性子、γ線)、残留放射線、電磁波等の発生を精密に測定した。実験では、中性子検出器、X線検出器等を複数並べ同時計数を行った。電極試料に課電中(2.6kV,2kHe)、バックグランド時では見られない、低エネルギーのγ線と思われる応答が幾つか観測された。また、課電終了後の試料電極に、短寿命の放射線発生核種が異常に存在する場合があることが明らかとなった。


http://www.jstage.jst.go.jp/article/aesj/2008f/0/2008f_129/_article/-char/ja/
水トリー発生に伴う放射線の計測
(8)残留放射線の核種同定
*谷口 良一1), 熊澤 孝夫2)
1) 大阪府立大学放射線研究センター
2) 中部電力、電力技術研究所
Abstract  電力ケーブルの絶縁破壊を引き起こす水トリーの発生実験を数週間行った後、電極部分に短寿命の放射性核種が残留していることを見出した。これは、10分オーダーの半減期であり、数時間後には測定できない程度に減衰していた。Ge検出器のスペクトルを精密に解析した結果、発生源は、鉛とビスマスの短寿命核種であることが確実となったが、どのような理由でこれらの核種が、発生したのか、あるいは集積したかについて明確な説明はできていない。



日本原子力学会 2009年秋の大会 

http://www.jstage.jst.go.jp/article/aesj/2009f/0/2009f_98/_article/-char/ja/
水トリー発生に伴う放射線の計測
(9) 残留放射線現象の再現性
*熊澤 孝夫1), 谷口 良一2)
1) 中部電力(株)電力技術研究所
2) 大阪府立大学 放射線研究センター
Abstract  電力ケーブルの絶縁破壊を引き起こす水トリーの発生に伴う微弱な放射線(中性子、γ線)、残留放射線、電磁波等の発生を精密に測定した。特に、前回報告した、課電終了後の電極試料に、短寿命の放射性核種が異常に存在する現象の追試の結果について重点的に報告したい。4回の課電実験の結果では、3回の実験で前回と同様の残留放射線が見られた。ただ、その規模には大きな違いがあり、最大のものでも前回報告の1/3程度であった。ただし、この現象と水トリー発生の規模との間に明確な相関が見られない。残留放射線の起源となる現象がバースト状である可能性を含め、この2つの現象の間には、さらなる未知の要素が介在していることが推測される。

http://www.jstage.jst.go.jp/article/aesj/2009f/0/2009f_99/_article/-char/ja/
水トリー発生に伴う放射線の計測
(10) 残留放射線スペクトルの解析
*谷口 良一1), 熊澤 孝夫2)
1) 大阪府立大学放射線研究センター
2) 中部電力、電力技術研究所
Abstract  電力ケーブルの絶縁破壊を引き起こす水トリーの発生実験を数週間行った後、電極部分に半減期10分程度の短寿命の放射性核種が残留していることを見出した。数回の実験においてGe検出器で計測したガンマ線スペクトルを精密に解析した結果を報告する。ピーク形状からは、主として鉛とビスマスの短寿命核種であることが確実であるが、低エネルギーの白色成分にも異常な増加が観測されており、さらに他の核種/反応が介在している可能性もある。


【追記】
電気学会論文誌にも論文が出ていたほか、小島英夫博士が設立されたCFRL (常温核融合研究所)の論文リストにも関連論文が掲載されていました。以下、引用させていただきます。


http://www.jstage.jst.go.jp/article/ieejfms/127/2/127_89/_article/-char/ja

電気学会論文誌A(基礎・材料・共通部門誌)
Vol. 127 (2007) , No. 2 pp.89-96
水トリーの発生・進展に伴う微弱放射線の検出
熊澤 孝夫1), 谷口 良一2)
1) 中部電力(株)技術開発本部 電力技術研究所
2) 大阪府立大学 放射線研究センター
(受付日 November 25, 2005)
(再受付日 October 23, 2006)
Abstract:  It is well known that generation and progress of water tree in XLPE cable are remarkably influenced by inorganic impurities. We have investigated the behavior of them in water tree and reported the experimental results as follows: i) the anomalous increase or decrease in several kinds of inorganic elements was observed in water treed XLPE samples, ii) a distinctive relationship was found for the mass numbers for the elements, iii) the isotopic content of the elements such as Zn deviated over 6% from the natural abundance. These results suggest that water tree is concerned with unknown phenomena e.g., cold fusion or nuclear transmutation in condensed matter. In order to study the relationship between water tree and these phenomena, we attempted to detect neutron, γ-ray or X-ray involving generation and progress of water tree in XLPE samples. For the experiments weak and burst-like radiation seemed to be low energy γ-ray or X-ray was often detected by BF3 and/or CdZnTe counter. The radiation tended to be detected from the samples in which a lot of water trees were generated by supplying inorganic cations abundantly.





http://www.geocities.jp/hjrfq930/Papers/paperr/paperr.html

Papers published as Reports of Cold Fusion Research Laboratory (Reports of CFRL)
(常温核融合研究所の論文一覧)


http://www.geocities.jp/hjrfq930/Papers/paperr/paperr16.pdf
16. H. Kozima and H. Date, "Nuclear Transmutations in Polyethylene (XLPE) Films and Water Tree Generation in Them" Reports of CFRL (Cold Fusion Research Laboratory) 8-2, 1 - 16 (August, 2008)

http://www.geocities.jp/hjrfq930/Papers/paperr/paperr14.pdf
14. H. Kozima, "An Explanation of Nuclear Transmutation in XLPE (Crosslinked Polyethylene) Films with and without Water Trees" Reports of CFRL (Cold Fusion Research Laboratory) 7-4, 1 - 10 (December, 2007)


以上

ブルームエナジー社の燃料電池発電装置「ブルームボックス」

常温核融合の話題ではありませんが、2010年2月24日にブルームエナジー社が発表した家庭用発電装置の話題がネット上で賑わっていたので、面白かったニュース記事へのリンクを集めてみました。中身は燃料電池のようですが、本当の技術的なブレークスルーが何なのかは良く分かりません。名立たる投資家から投資を集め、有名企業での実績もあるので、今後の展開が楽しみです。ちなみに、「分散型の発電」という考え方は、常温核融合の応用を考える際にも大事ですね。

ナショナルジオグラフィック ニュース
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20100225001&expand
次世代燃料電池“ブルームボックス”
Ker Than
for National Geographic News
February 25, 2010
■引用開始
アメリカの燃料電池メーカー、ブルームエナジー社(Bloom Energy)は24日、小型冷蔵庫サイズの家庭用発電装置「ブルームボックス(Bloom Box)」の詳細を明らかにした。まだ設計段階だが、同社によれば今後10年以内にアメリカ中の家庭に安価で環境に優しい電力を供給できるようになるという。
だが専門家によると、会見で発表されたブルームボックスのテクノロジーはそれほど革新的とは言えず、燃料電池としてコストやエネルギー効率が突出しているわけではないという意見もある。 
■引用終了


TechCrunch
http://jp.techcrunch.com/archives/20100224doerr-bloom-energy-google-ipo/
Bloom Energy、スタートを切る―著名ベンチャーキャピタリスト、 「Googleの上場なみの大事件」と興奮
by Erick Schonfeld on 2010年2月25日
■引用開始
Bloomのファウンダー、CEOのK R SridharはNASAに在籍して火星で人間を生活させる技術を研究しているときに画期的な燃料電池テクノロジーのアイディアを得たのだという。この技術はエタノール、バイオマスなどほとんどあらゆる燃料を電力に変換することができる。燃料電池自体は決して新しい技術ではないが、Bloomは製造価格と効率に大きな改良を加えることに成功した。Sridhar claimsが「エネルギー・サーバ」と呼ぶBloomボックスは現在の電力会社の配電網に比べて2倍も効率がいい。つまり同じ電力を生むために半分の燃料しか必要としないという。再生可能な燃料を利用すれば、環境への炭素負荷をゼロにすることができる。どんなに電力を使っても環境汚染に手を貸していると悩む必要はなくなるわけだ。
■引用終了


マイケル・カネロスの「海外グリーンテック事情」
http://wiredvision.jp/blog/kanellos/201002/201002241329.html
長い沈黙を破ったブルーム・エナジー、ついに燃料電池の製品発表へ
2010年2月24日
■引用開始
冒頭のキャスターによるナレーションのなかでは、"little power plant in a box"、"wireless"というフレーズが登場します。「家庭の裏庭におけるサイズの小さな発電所」が普及させ、従来の大規模な発電所と送電線網(グリッド)にとってかわるようにしよう、というブルームの意図がここで要約されています。また、その構造変化の比喩として、「かつてのメインフレームが、デスクトップPCやノートPC、携帯端末にとって代わられたように」という説明もあります。つまり、コンピュータの世界で起こったcentralized systemからdistributed systemへの移行を、電力の世界で再現しよう、という(いかにもシリコンバレーの人々が好みそうな?)狙いがあるということになります。
■引用終了

CNET Japan
http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20409264,00.htm
話題の燃料電池「Bloom Box」、課題は信頼性とコスト
文:Brooke Crothers(Special to CNET News)
翻訳校正:矢倉美登里、長谷睦
2010/02/25 11:49

■引用開始
低コストという側面は、大体において、既存の送電線網を利用せずに電力が消費される現場で効率よく発電できるという、燃料電池の特質から生まれたメリットだ。「送電と配電で約20%の電力が失われる。したがって、(燃料電池の)大きなメリットの1つは、このような送配電時のロスがないということだ」とFisher氏は指摘する。
だが、大半の利用者は、Bloom Boxでの発電に使用するエネルギー源については、今後も現状と同レベルの料金を支払わなくてはならないだろう。バイオ燃料は将来的なエネルギー源としてもてはやされているが、大半の利用者にとっては、今のところ現実的な選択肢ではない。Fisher氏によると、(eBayが現在利用している)天然ガスが、近い将来においては最も現実的なエネルギー源だという。
Bloom Energyでは、光熱費を節約できるので、Bloom Boxを導入後3~5年以内に元が取れると主張している。Sridhar氏は、天然ガスを利用した場合、Bloom Boxは1kW時あたり8~10セントの費用で発電できると述べている。だが、これは、一部のケースで、通常の電気料金よりも安く済むというレベルにすぎない。
■引用終了

以上

2010年3月1日月曜日

JCF10のアブストラクト公開&バブル核融合の話題

昨年から告知されていた日本CF(固体内核反応)研究会の第10回大会ですが、JCFのホームページにプログラムとアブストラクトが公開されています。私にとっては残念なことに(笑)、英語で記述されています。

プログラム
アブストラクト
http://dragon.elc.iwate-u.ac.jp/jcf/JCF10/jcf10-program.pdf
http://dragon.elc.iwate-u.ac.jp/jcf/JCF10/jcf10-abstracts.pdf

開催日は今週末の3月5日(金)と3月6日(土)です(場所は八王子)。告知は以下のページにあります。
http://jcfrs.org/NEW.HTML
http://dragon.elc.iwate-u.ac.jp/jcf/NEW.HTML

プログラムを見ると、残念ながら水野博士の発表はないようです。

素人目には、鳥谷部祐氏と笠木治郎太氏の以下の発表が面白そうです。

JCF10-2
D + D Fusion Acceleration in High Temperature Acoustic Cavitations
Yu Toriyabe and Jirohta Kasagi

かつて、bubble fusion(バブル核融合)と呼ばれた現象があったのですが、最初の発表の後、再現性が悪かったため今では余り認められてないようです。これを再検証しようと試みられているように見えます。面白いですね。

バブル核融合については、以下のブログの記事が素人にも分かりやすく書いてくれていました。関連部分のみ引用させていただきます。


http://blog.livedoor.jp/nayugon/archives/50557601.html
2007年05月22日
波動拳を出すエビと核融合

■引用開始
さて、先ほど、5000 kelvinは太陽の表面と同じ温度だと書きました。太陽と言えば核融合です。そうです。あなたと同じ事を考えた人達がいます。キャビテーションの中で核融合を起こしてしまおうと考えた人達がいます。
これはバブル核融合と呼ばれています。重水素を含むアセトンに超音波を当ててキャビテーションを発生させると、トリチウムや中性子が検出されたとの報告が2002年にあり、大騒ぎになりました。核融合が起こるとトリチウムや中性子が発生するからです。
全世界で、この実験の追試が行われました。しかし、現在までのところ、最初にこれを報告したグループ以外では、この現象の再現性が取れていません。ガセネタだったのでしょうか?
■引用終了

以上