2013年12月11日水曜日

ノーベル賞科学者がネイチャーやサイエンス誌をボイコットすると宣言

今年のノーベル生理学・医学賞の受賞者であるランディ・シェクマン博士が、Webのガーディアン誌に「How journals like Nature, Cell and Science are damaging science」(NatureやCellやScienceのような雑誌が如何にして科学を傷つけるか)と題する記事を寄稿したのが話題になっています。


まだ中身を読めてないのですが、この記事の中で、NatureやCellやScienceのような科学のプロセスを毒する雑誌には、シェクマン博士や彼の研究所は、二度と論文を送らないと宣言したとの事。目新しい事を追っていて、手堅い仕事をちゃんと評価してない、等の厳しい評価をしているらしいです。

常温核融合ウォッチャー界隈では、以下のような記事/投稿が出ています。
E-Cat Worldの記事

Vortex-lメーリングリストでのスレッド

時を同じくして、国際常温核融合学会の論文誌に「How the Flawed Journal Review Process Impedes Paradigm Shifting Discoveries」(誤った学術誌のレビュープロセスが如何にしてパラダイム・シフトを促す発見を邪魔するか)と題する論文が掲載されたのも興味深い偶然です。(J. Condensed Matter Nucl. Sci. 12 (2013) 1–12)

四半世紀の間、着実にエビデンスを出しながら、所謂主流の学会からは無視され続けている常温核融合研究の状況を見ると、科学の世界のプロセスや営みに何かしら大きな問題があるように思えます。上記の警鐘が見直しのキッカケになれば良いのですが。

以上

2013年12月1日日曜日

スウェーデンのELFORSK社がLENRに関するレポートを公開

エネルギー関連のリサーチを行なっているスウェーデンのELFORSK社がLENR(常温核融合)に関するレポート(PDFで59ページ)を公開しました。

ELFORSK社は、通称Hot Cat、正式名E-Cat HTの第三者検証のスポンサーだった事で一躍有名になりました。その後も広報誌でLENR/E-Catの話題を取り上げており、LENRの動向を重要視していると思われます。

まずは、これまでの経緯を示す記事を紹介します。

ELFORSK社がE-Cat研究予算を確保していた件
スウェーデンのR&D会社ELFORSKがE-Cat研究予算を確保

2013年4月29日月曜日

第三者検証論文のプレプリント
Indication of anomalous heat energy production in a reactor device
(Submitted on 16 May 2013 (v1), last revised 7 Jun 2013 (this version, v3))

ELFORSK社が検証のスポンサーだったと認めるプレスリリースについて
‘Very Remarkable’ ― Swedish R&D Organization ELFORSK on E-Cat Report it Funded
May 23, 2013

ELFORSK社が自社の広報誌でLENR/E-Catを取り上げた件について
Elforsk Magazine Features LENR/E-Cat
October 23, 2013

さて、このレポートは公式にはスウェーデン語版しか出ていませんが、Pekka Janhunen氏やE-Cat Worldの読者やGoogle翻訳によって英訳が作られ、以下に公開されています(PDFとしてダウンロードもできます)。翻訳に努力してくれた方々に感謝します。
E-Cat Worldの紹介記事

英訳版レポート

今回のレポートについては、目の肥えた常温核融合ウォッチャーからは「新しい情報がない」とか「プロの仕事とは思えない」といった辛辣な批評も出ていますが、以下の点でとても注目すべきだと思います。
  • エネルギー関連のリサーチを行なっているELFORSK社の公式なレポートとして公開された。内容について、それなりの信頼性を保証していると見て良いだろう。
  • 著者の一人、Margaretha Engströmさんは、欧州で有数のエネルギー多国籍企業バッテンフォール社に所属している。バッテンフォール社もLENRに重大な関心を持っていると見て良いだろう。
  • これまで、LENRに関する現状説明としては、科学者による「研究の状況」を記したものが主流であった(研究状況の記載の「質」においては、まさしくプロの仕事というもの)。しかし、今回のレポートは、商用化、様々な応用、実用化に向けての課題、特許など、研究以外の全体的な状況を包括的に述べている。ビジネス面まで含めて「包括的」なのが大きな特徴である。

最後に目次(英訳版)を引用します。中身は何も読めてませんが、日本人研究者のお名前も何度も登場します。日本には立派な研究者が何人もおられるのに、産業化で遅れを取っている(ように見える)のが残念です。

Contents
1 Introduction 
1.1 Is there a new kind of energy conversion 
1.2 How it all started 
1.3 A controversial research

2 State of knowledge of LENR
2.1 What is meant by LENR technology? 
2.2 Which are the explanatory models? 
2.2.1 Explanatory models on ball lightning and other plasmodia 
2.2.2 Some explanatory models around ultra cold neutrons
2.2.3 Other explanatory mechanisms around low-energy fusion
2.2.4 Rydberg and Bose-Einstein condition as elements in nuclear reactions  
2.2.5 Hidetsugu Ikegami hypothesis pycnonuclear fusion 
2.3 How much is spent on LENR developments? 
2.3.1 R & D efforts within the academic world and the authorities 
2.3.2 R & D in companies 
2.4 Ongoing research in the LENR field 
2.4.1 Credibility of practical experiments
2.5 EU research
2.6 Commercialization state 
2.7 Applications of interest

3 Validated energy plants
3.1 Validated plasma equipment
3.2 "Validated" nickel-hydrogen LENR plants
3.2.1 E-Cat Leonardo Corporation 
3.2.2 Hyperion Defkalion Green Technologies
3.2.3 BEC Brillouin Boiler TM Brillouin Corp. 
3.2.4 CIHT cell - BlackLight Power 
3.2.5 NANOR TM Jet Energy

4 Possible applications of LENR technology
4.1 Generation of electricity and heat
4.2 Vehicle applications 
4.3 Aerospace and Space applications
4.4 Transmutation of radioactive waste
4.5 Consumer products

5 Questions for the power industry
5.1 Market scenarios 
5.2 Environmental and safety issues 
5.2.1 Unknown negative characteristics
5.2.2 Security 

6 Conclusions
6.1 Where does the research on LENR technology today?
6.2 Where is the explanation / why?
6.3 Where are the biggest challenges?

7 References
7.1 Articles, reports and protocols 
7.2 Websites

8 Attachments
8.1 Patents
8.1.1 U.S. 
8.1.2 Asia 
8.1.3 Europe 

以上