2014年3月30日日曜日

常温核融合コロキウムで発表された水野忠彦博士の実験の衝撃

MITで開催された2014 Cold Fusion Colloquium (2014年 常温核融合コロキウム)では、多くの常温核融合研究者が発表を行いました。会場は世界中から集った研究者で満席状態だったようです。

たいへん重要な会議だったと思いますが、相変わらず大手メディアは殆ど取り上げていません。しかし、Cold Fusion Now!のRuby Caratさん、ミュージシャンでかつてMITにNANORを見に行ったBarry Simonさん、Vortex-lメーリングリストに投稿してくれたSteve Highさん等、草の根レポーターが参加して、ほぼリアルタイムに発表の状況を教えてくれました。以下のリンク先にこれらの皆さんのレポートが公開されています。


さて、コロキウムの中でとりわけ注目を集めたのが、日本の水野忠彦博士の発表でした。早速、Jed Rothwell氏が使われたスライドを整備して公開してくれています。この発表については、E-Cat Worldでも紹介されました。
この発表が注目された理由は幾つかあります。
一つ目は、登壇したクリーンプラネット社のファウンダー・チェアーである吉野英樹氏が非常に若く、かつ、LENRを明に事業化支援の対象としている点です。日本にも常温核融合に本格的に投資するエンジェルが現れたに違いないと、ウォッチャーの間で話題になりました。とても素晴らしいことだと思います。


二つ目は、発表で示された水野忠彦博士の実験装置が、非常に良い過剰熱発生を示していた点です。35日間にわたり、最高78ワット、トータルで108MJの過剰熱を検出しています。
装置は以下のような形状をしています。
まだ実働はしていないように思えますが、将来に向けた大型装置の写真も載っており、この装置が実用化を強く意識したものである事が伺えます。
三つ目は、この装置がガスの分子量測定器を備えていて、反応時のガスの組成を計測した結果が示されている点です。ロッシ氏のE-Catはビジネスに備えて内部のノウハウを秘匿する姿勢を採ってきているため、学術的なメカニズムの解明には使えないものでした。しかし、今回の「水野リアクター」では、反応時のガス組成のデータ等を発表しており、これがメカニズム考察の上で非常に興味深いものとなっています。下の図を見ると、分子量4のガスは減少、分子量3のガスは最初増加して、その後微減、分子量2のガスは増加と組成が変化しており、この状態が右の対照系とは全く異なる事が読み取れます。
この反応の正体について、水野博士は仮説を持っておられるようですが、理論はさっぱり分からないので割愛します(笑)。

この水野リアクターの今後には非常に期待します。クリーンプラネット社と合わせて応援したいと思います。

以上










JCF-15は2014年11月1日〜2日に札幌で開催

常温核融合発見25週年を記念したMIT常温核融合コロキウム「2014 Cold Fusion Colloquium」が3月21日〜23日に開催されました。

多くの講演が行われたのですが、中でも、水野忠彦博士がスカイプで参加され、日本の常温核融合ベンチャー「クリーンプラネット社」代表の吉野英樹氏が演台に立ったプレゼンテーションは、大きな話題となっています。下の写真はCold Fusion Timesに載ったものです。

この講演で使われたスライドが既にLenr-Carn.orgで公開されました。講演の中身については別記事で触れるとして、その最後のページに、日本の常温核融合研究会JCFの第15回例会の案内が載っていました。今年は、11月1日〜2日に札幌で開催されるとの事です。賑やかな会になって欲しいですね。

以上


2014年3月21日金曜日

常温核融合発見25週年を記念したMIT常温核融合コロキウム

本日から米国MITにて、「2014 Cold Fusion Colloquium (2014年 常温核融合コロキウム)が開催されます。


今日の常温核融合研究は、1989年3月23日にイギリス・サウサンプトン大学のマーティン・フライシュマン博士とアメリカ・ユタ大学のスタンレー・ポンズ博士が、記者会見を開いた所から始まります。今回は、それからちょうど25週年に当たるため、世界中から著名な研究者を招いて、豪華な講演が予定されています。

以下、スケジュールから引用します(赤字は引用者による)。綺羅星の如き発表が並んでいるので目移りしますね。日本からは、岩村康彦博士と水野忠彦博士の名前が挙がっています。ヴィソツキー博士の「Observations of Biophysical Effects from Cold Fusion」はもしかすると微生物による核変換に関する発表かもしれません。「Review of cavitation x-ray emission experiments」ではキャビテーションを取り上げているようです。注目したいと思います。
FRIDAY
  • Mitchell Swartz Our Emergent Need for a Clean, Efficient Energy Production Source
  • Arik El-Boher Progress Toward Understanding Anomalous Heat.
  • Frank Gordon Observations of a variety of Codeposition protocols used to prepare Cold Fusion Cathodes
  • Larry Forsley Neutron and Charged Particle Spectroscopy
  • Tom Claytor Recent tritium production from electrically pulsed wires and foils
  • Mitchell Swartz Excess Power Gain on both sides of an Avalanche Through a PdNi Nanostructured Cold Fusion Component
  • Yasuhiro Iwamura Deuterium Permeation Induced Transmutation Experiments using Nano-Structured Pd/CaO/Pd Multilayer Thin Film.
  • Vladimir Vysotskii Review of cavitation x-ray emission experiments
  • Peter Hagelstein Controlled Karabut experiment at SRI
  • Olga Dmitriyeva Using numerical simulations to better understand the Cold Fusion Environment
  • David Nagel Scientific and Practical Questions about Cold Fusion
SATURDAY
  • Brian Ahern Nanomagnetism for Energy Production
  • Francesco Celani  Glass surface co-factors in the generation of anomalous effects under H2 gas at high temperatures
  • Nikita Alexandrov Advanced analytic and highly parallel Cold Fusion Experimentation
  • Pamela Mosier-Boss CR-39 Detecting Emission during  Pd/D Codeposition Cold Fusion
  • John Dash SEM and Energy Dispersive Spectrometer Studies of Metal Surfaces Interacting with Hydrogen Isotopes
  • Tadahiko Mizuno Replicable Model for Controlled Nuclear Reaction using Metal Nanoparticles.
  • Peter Hagelstein Model for Fractionation and Inverse Fractionation
  • John Wallace Relativistic quantum mechanics and Cold Fusion
  • George Miley Ultra-dense clusters in nanoparticles and thin films for both hot and cold fusion
  • Vladimir Vysotskii Observations of Biophysical Effects from Cold Fusion
  • Charles Beaudette Post Missouri Priorities for Cold Fusion
  • Nathan Cohen The Tortuous Path of Innovation and Implications for Cold Fusion in the next Decade
SATURDAY EVENING - Business Panel @ Hyatt for Registrants
SUNDAY
  • Peter Hagelstein Anomalies associated with Fracture Experiments
  • Larry Forsley Enhanced Tc Superconductivity and Anomalous Nuclear Emissions in YBCO and Palladium
  • Vladimir Vysotskii Application of coherent correlated states of interacting particle for Cold Fusion Optimization
  • John Fisher Polyneutron theory and its application to Excess Power Generation in three types of Devices
  • Mitchell Swartz Successful Applications of the Deuteron Flux Equation in Cold Fusion
  • Robert Smith Assuring Sufficient Number Of Deuterons Reside in the Excited Band State For Successful Cold Fusion Reactor Design
  • Curt Brown Measurement of Anomalous Heat at High Ambient Temperatures
  • Clint Seward Ball Lightning and Tokamak
  • Carl Dietrich Flying Cars and Cold Fusion
  • Peter Hagelstein Landscapes in cold fusion research
  • Steve Katinsky Industry Association for Cold Fusion Advocacy
  • Thomas Grimshaw Cold Fusion Public Policy: Rational – and Urgent– Need for Change
  • Policy Panel (Hagelstein, Grimshaw, Karat, Katinsky, Nagel, Miley)
  • David French The role of the Patent Attorney in patenting Cold Fusion inventions.
 IP and USPTO Panel (Swartz,Dash,French,Ahern, Miley)
 以上

2014年3月16日日曜日

大政龍晋博士の自叙伝にみる放射能無害化の実験結果

大政龍晋社長の自叙伝に放射性セシウムをプラチナに変換するとの記載」の記事で紹介した本が3月上旬に出版されました。私は直接日本テクノ社に予約しておいたのですが、送られてきた本は大政龍信博士のサイン入りでした(^o^)v。既にAmazonにも出ていますので買いやすくなりました(価格1,575円)。


早速読んでみました。
大政博士の波乱に富んだ人生の記述も面白いのですが、本の半分位は、オオマサガス等の今の科学では解明されていない不思議な現象・技術についての説明(データ提示あり)で、私にとってはこちらの方が非常に興味深いものでした。

主張されているテーマは、オオマサガス、二酸化炭素の燃焼(この現象は初めて知りました)、中性電解水(αトリノ水)、放射性物質の核変換による無害化と幅広いのですが、一貫して「攪拌振動」という技術を核にして展開されています。一つの技術を究めて、そこから様々な成果を生み出した事を表したかったために、個々の論文や特許のような形ではなく、あえて自叙伝という形を採られたのではないかと想像します。

さて、ここでは、この本の最大のハイライトと言うべき攪拌振動による放射性物質の元素変換(核変換)のデータについて述べます。

「水の改質方法」という、攪拌振動による核変換を示した特許が、常温での核変換を主張したものである事は拙ブログで以下のように書きました。

本書にも、この実験を開始した経緯が「思いつきで元素変換をする」(P134)に書かれています。2007年頃に140Hz~160Hzで振動する高周波振動撹拌機で純水を20日間ほど処理して、特許に記された核変換のデータを得たとのこと。この発見には大変興奮し驚いたものの、業務に忙殺されてその後の実験は先延ばしになっていたそうです。

実験を再開する契機になったのは311の原発事故です。「放射能無害化を実現できるかもしれない」と思い立たれたのです。2012年10月に、高周波振動撹拌と同時に電気分解を行える「電極兼用型振動撹拌機」を使用して、放射性セシウムで汚染された水を処理する実験を実施。これ以外にも塩化カルシウム試薬や卵殻を使った実験も実施されているのですが、ここでは最も重要な放射性物質低減効果を示す実験結果だけを引用します。以下はP155の「放射能汚染水の無害化処理の実用試験結果」に載っている表です。


この実験では、放射性セシウムが以下のように低減しています。
約13日間で約50%低減(Cs134もCs137も。本文の記載のみ)
約30日間で約74%低減(同上。本文と表に記載)

また、驚くべきことに、どういう核変換かは分かりませんが、白金(Pt)の量が増加しています(1μg/L以下から720μg/Lへ増加)。

通常の壊変だと、セシウム137はベータ崩壊によって短命なバリウム137mになった後、非放射性のバリウムとなり、セシウム134はベータ崩壊によってバリウム134になります。仮に攪拌振動が壊変を加速する効果を持つのだとすると、バリウムが増加する筈ですが、実験結果ではバリウムはむしろ減少しています。非放射性のバリウムもまた核変換されたという事なのでしょうか? 非常に興味深い結果です。

実験論文ではないので、実験環境や水の量等は詳述されていませんが、電気分解によるガス放出があったとしても、これだけの変化が起こるのは、何か未知の反応が起こっている可能性を考えざるを得ないと思います。是非とも本格的な研究機関による追試を期待したいと思います。

以上

2014年3月11日火曜日

板橋区ホタル生態環境館に迫る閉鎖の危機

今回は常温核融合にもナノ銀除染にも関係のない話題です。
ナノ銀による放射線低減現象を発見した阿部宣男博士は、板橋区のホタル生態環境館の館長を務めています。このホタル生態環境館に対して板橋区が廃止の決定をしたと聞いたので調べてみました。なお、本件については、阿部博士本人には取材しておらず、公開情報だけから記事を書いています。

板橋区では行政の施策の評価を毎年行なっているようで、平成24年度の評価結果は以下のページに公開されています。


ホタル生態環境館の廃止の決定を受けたという評価結果は「平成24年度板橋区行政評価結果 付:板橋区行政評価委員会報告書」(このPDFファイル)に載っています。
一覧表を見ると、P.28に「ホタル飼育施設管理運営」という名称で、ホタル生態環境館の評価が載っており、外部評価と二次評価ともに「休廃止」となっています。


この評価の経緯は、「板橋区施策評価表(平成24年度)」(このPDFファイル)に載っています。
ここに書かれている外部評価(行政評価委員会による評価)の内容は以下の通りで、評価として【休廃止】となっています。(引用の改行は引用者によります)
【今後のあり方の視点】 
施設の室内通路等が乱雑な状態で、予告もなく休館となる場合も散見され、公開を前提とした施設の体を成しているとは言い難い。 
ホタルの夕べでは、多数のボランティアや地域住民の協力もあり、かつ施設を評価している区民も多く存在することから、公共施設としての自覚を持ち、早急に改善を進めること。 
また、ホタルの生態に関する研究成果に対しては一定の評価ができるが、そもそも、区として研究のための施設が必要であるか疑問である。 
中長期的な視点に立てば、施設の老朽化や属人的な能力に依存した施設運営がなされていることから、建て替えを契機に廃止を検討されたい。
この指摘を読み解いてみます。1文目は「今後のあり方の視点」であり、休廃止の決定理由が今後の展望の問題にあると示しているようです。2文目は「施設の体を成しているとは言い難い」と運営の問題点を指摘していますが、3文目では「早急な改善を進めること」となっており、この問題点が休廃止の理由ではないと読み取れます。4文目では、「区として研究のための施設が必要であるか疑問」と指摘しています。しかし、ホタル生態環境館は「再び板橋区にホタルを呼び戻し、自然と共生する「エコポリス板橋」の実現」を目的としていて、研究と実践はそのための手段です。そもそも研究を目的とした施設では無いのですから、この指摘は的外れでしょう
要するに、2〜4文目の指摘は休廃止評価の理由ではありません。5文目に指摘された「施設の老朽化や属人的な能力に依存した施設運営がなされている」点だけが理由だと読み取れます。

ところが、5文目の指摘については、既に区側でも課題と認識していて、同じ文書の中で、解決に向けた検討状況を以下のように記述しています。上記の外部評価では、この検討状況に対する言及がありません。解決に向けた検討を無視しての「休廃止」評価は納得できません
4 今後の展開方針、課題・懸案事項
今後の事業運営スキ-ムについて、早急に検討を進める必要がある。
方向性として、これまで区が行ってきた事業を、NPO法人等に引き継げないか検討する。
また、現在のホタル生態環境館は、施設の老朽化が進んでいることから他施設への移転も含めて検討する。
さらに、上記の外部評価を受けて行われた区の二次評価(区の最終評価)の内容は以下の通りで、最終評価はやはり【休廃止】となっています。
施策実現手段としての必要性の観点と、厳しい財政状況及び施設の老朽化に鑑み、廃止の方向を含めた検討を進めること。
開設中にあっては外部評価での指摘を踏まえ、公開施設にふさわしい事業運営に心がけること。
この指摘を読み解いてみます。2文目は、「開設中にあたっては」とある通り、休廃止を決めた理由ではありません。理由は1文目だと考えられます。外部評価との関連付けは明確には示されていませんが、「施策実現手段としての必要性の観点」は外部評価で指摘された「区として研究のための施設が必要であるか疑問」を受けたものだと思います。しかし、これについては既に指摘したように、そもそも研究を目的とする施設ではないので、的外れな指摘でしょう。また、「厳しい財政状況及び施設の老朽化に鑑み」についても、既に指摘したように、区で行なっている検討を無視しての評価であり、休廃止の論拠としては不十分だと思います

行政評価の趣旨に立ち返れば、評価表に記された事務事業の概要(以下)に沿ったものになっているか否かが最も重要な評価観点だと思います。
区民に対し、緑と水辺の再生事業の一環として、環境指標昆虫であるホタルが生息できる環境をつくり、生育過程、成虫の飛翔等の公開を通じ、生きものとのふれあい体験の機会を提供や、ホタルを中心とした生態系や生物多様性の大切さを理解してもらうことで、意識啓発を行い環境意識向上を図る。
この点について、やはり評価表に記載されている「区民意見等の状況(アンケート調査や個別要望等)、類似・関連事業や他自治体との比較など」を読んでみましょう。この文章では、入場者の満足度は非常に高く、他自治体との比較でも貴重な施設との評価を受けています。(赤字は引用者による)
夜間特別公開実施時のアンケート結果では、入場者の43.5%が区内在住者で都内(板橋以外)37%他県19.5%となっている。入場者の91.1%が「大変よかった」と満足度は高く、92.3%がまた次回見たいとの感想を寄せている。他自治体との比較では、全国でも数少ない貴重な施設となっている
また、「有効性の視点による評価(手段の工夫・協働の取り組み)」を読むと、地域住民やボランティアと協働した運営を実践できており、むしろ、地域に支えられた良い運営ができているように思えます。(赤字は引用者による)
近年その機会が失われている生きものとのふれあいや、生態環境、生物多様性の大切さを体験できる施設として有効である。特別公開時などには、地域住民やボランティア等と協働した運営を実践している

この施設の存続/廃止を決めるのは板橋区民の皆様です。板橋区民ではない私が口を挟むのは僭越ですが、ここまで見てきた限りでは、ホタル生態環境館は運営に課題を抱えてはいるものの、入場者や地域の人々に対して満足の行くサービスを提供しているように思えます。採るべき道は廃止ではなく、存続させての運営改善ではないでしょうか?
おそらく、一旦廃止されて、ホタルの生息環境が失われてしまうと、再度の立ち上げは難しくなると想像します。その観点でも廃止の決定には疑問を持ちます。板橋区民の皆様、再度、考えなおされては如何でしょうか。

以上

2014年3月2日日曜日

ナノ銀除染実験に関する補足情報(QA)

ナノ銀除染について、幾つか分かった事があるのでQA形式でまとめます。
(追記&修正あり 2014-3-2)

Q: ナノ銀除染実験に使われているナノ銀はどのメーカーのものですか? 

A: 阿部宣男博士に確認したところ、以下のUFS-REFINE株式会社(以降UFS社と略す)のナノ銀「ウルトラファインシルバー」を使っているとの事です。但し、担持材については、阿部博士が色々と新規に考案されているため、実験に使われたものとしては、UFS社からはコラーゲン担持ナノ銀しか手に入りません。



UFS社ではコラーゲンに担持させたUFS-CW20Fという製品と、タルク(滑石)に担持させたUFS-TP300という製品を販売しています。UFS社に確認したところ、残念ながらUFS社では小売はしていないそうです。個人が入手するためには、UFS社から製品を仕入れている会社で小売している所を探す必要があります。小売価格では、数万円/Kgくらいではないかとの事でした。
阿部博士によると、茨城大学発のベンチャー企業「(有)ルシオラ」で有償サンプルとして扱っているそうです。(私自身はまだコンタクトしていません)
http://www.luciola.co.jp/ ルシオラ社では既に取り扱いをやめているようです。

UFS社のナノ銀は、以下に引用したUFS社の説明にあるように、粒子の直径が2nmから8nmと非常に小さい(平均粒子径5nm)のが特徴とされています。(岩崎信博士は、ナノ銀粒子の直径を4nm〜5nmと書かれています)
その結果、極めてデリケートな物性と高いエネルギー準位にあるUFSをそのままの状態に保持し、その抗菌機能を安定的に利用するための新しい担持技術の開発に成功したのです。 UFSとは特許製法で純銀を極限まで小さく(2nm~8nm)することで、銀の電気的エネルギーを最大限に高めたものです。 
これに対して、例えば以下のアルドリッチ社で売っているナノ銀だと、直径10nmのものまでしかリストに挙がっていません。 
http://www.sigmaaldrich.com/japan/materialscience/nano-materials/silver-nanoparticles.html

Q: 「担持」とはどういう事ですか? 

A: 上記のUFS社の説明のページから引用します。ナノ銀単独では凝集してしまうので、必ず何らかの物質にくっついた状態で提供されるようです。どのような担持材を使うのかは、どのような環境で利用するのかによって判断するようです。 
(※)[担持] 純銀微粒子は、単独ではナノサイズを維持することができず、凝集により瞬時にミクロンサイズ以上の粒子になってしまいます。それを防ぐために異なる固体物質にナノサイズ銀粒子をファン・デル・ワールス力の静電引力を利用して吸着させたのです。これを担持と呼びます。 丁度磁石に吸い寄せられたような状態をイメージして頂くとわかりやすいかも知れません。 UFSは、ナノ化した銀を化合物でもイオンでもなく純銀として保持しています。 ちなみに「CW-20F」には、1cc中に1200兆個以上の超微細純銀粒子(平均5nmとして換算)が入っていることになります。 

Q: UFS社はなぜコラーゲンやタルクのようなものに担持させるのですか? 

A: おそらく化粧品製造で抗菌剤として利用されているパラベン、フェノキシエタノールなどの代替を狙っているからだと思われます。 
Google検索で見つけた「爽快フット」という靴の消臭剤の広告を見ると、どうやらタルク担持ナノ銀に香料を混合したもののようです。こういった用途が典型的な狙いの一つではないかと思います。 
http://drshunon.shop26.makeshop.jp/html/page3.html

Q: ナノ銀は安全なのでしょうか? 

A: UFS社のWebサイトに安全性を説明したページがあります。それによると、「急性経口毒性、皮膚一次刺激性、眼刺激性、皮膚感作性、変異原性の5項目に渡りGLP対応試験施設に於いてOECDガイドラインに準拠して試験を実施し、安全性を確認しています」との事です。


但し、ナノ銀の持つ強力な殺菌力が生体に対して悪影響を及ぼす懸念の指摘もあり、上記情報だけでは安全とは判断できないと思います。少しGoogleで検索するだけでも以下のような文献が出てきますので、特に環境への散布については注意が必要だと思います。

http://www.ne.jp/asahi/kagaku/pico/nano/project/nano_silver.html
ナノテク研究プロジェクト ナノ銀:殺菌・抗菌剤

http://archives.shiminkagaku.org/archives/csijnewsletter_010_kobayashi_02.pdf
ナノシルバー抗菌剤の安全性評価
東京理科大学ナノ粒子健康科学研究センター 小林 剛

Q: ナノ銀除染について特許は出ているでしょうか?

A: 阿部博士に確認したところ、2件の特許を出願されているそうです。特許電子図書館で「阿部宣男」で検索すると以下のような特許がリストされますが、まだ公開されていないようです。

項番
公開番号/登録番号
発明の名称
1.
日本在来マルハナバチ類の繁殖供給飼育方法
2.
バーチャルオーロライルミネーションシステム
3.
ホタルの発光パターン再現システム及びその再現方法、並びにコンピュータ読み取り可能な記録媒体
4.
ホタルの累代飼育システム及び方法
5.
複合循環抗菌による尿石形成・付着防止具及び複合循環抗菌による尿石形成・付着防止システム
6.
船舶バラスト水浄化処理システム

Q: これまでの実験では放射性物質による汚染水や汚染土壌を使っていますが、純粋な放射性セシウムなど研究用に提供されているサンプルを使っていないのは何故ですか?

A: 放射性物質のサンプルを入手して実験に供するためには、適正な管理体制や資格が必要になるらしく、それなりの実験室を持った研究所や大学でないと難しいようです。逆に、汚染水や汚染土壌が、居住環境ですぐに手に入ってしまう今の環境が異常という事なのでしょう。

Q: これまでの実験では、放射線低減後の元素分析はされているのでしょうか?

A: いいえ、まだ行われていません。岩崎博士に確認したところ、岩崎博士もやりたかったそうですが現在手持ちの装置(実験に用いた測定器)では不可能だったとの事です。また、土壌を対象とした実験では、入っている物質の種類が多すぎて、精度を上げるのが難しいのではないでしょうか。前のQで挙げたように、より純粋な放射性物質を対象として実験を行えれば、元素分析にも意味が出てくると思います。今後の追試に期待したいと思います。

Q: LENRだと想定した場合、岩崎信博士の実験では過剰熱は検出されているでしょうか?

A: 確認していませんが、おそらく熱量測定は行なっていないと思います。
これも追試へ期待したいところですが、従来の常温核融合(LENR)実験に比べると、指標としての熱量の重要性は下がると思います。 熱量測定は行なわれていません。試算してみると、実験に使っている汚染土壌ぐらいでは、含まれている放射性セシウムがとても微量なので、有意な熱量を測定するのは困難だと思います。従来、明白な異常性(化学反応では不可能だということ)を示すための指標としてLENRの実験では過剰熱測定が定番となっていました。これは、核反応の従来の指標である中性子線やガンマ線などの検出がLENRでは難しいという事情による所が大きいと思っています。
しかし、今回の場合、放射線量のドラスティックな低減という非常に分かりやすい指標が出てきた事と、311福島原発事故以降の世界にとって非常な重要なテーマとなった放射性物質低減という課題解決へ直結する事から、従来とは指標の優先順位が変わってくると思います。
尤も、調べるに越した事はありません。今後の追試に期待したいと思います。

Q: なぜこんな簡単な現象が発見されなかったのでしょうか?

A: ナノテクノロジーが発達した後に起こった初めての大規模な原子炉災害が福島原発事故でした。LENRの再現性を上げるのには、金属のナノ粒子が大きな役割を果たしているのは既に良く知られています。ナノ銀粒子を放射性物質に当ててみる・・という実験が(不幸にも)簡単にできてしまえる環境になった事が背景にあります。そして、こんな事が起こる筈がない、という常識に囚われず、目の前で起こっている実験事実を重視する阿部宣男博士の研究態度が発見を深める要因になったのだと思います。

以上