2015年5月31日日曜日

中国のSongsheng Jiang博士が600Wの過剰熱生成に成功

中国のSongsheng Jiang博士がParkhomovスタイルの過剰熱発生実験に成功したという第一報をE-Cat Worldに送ってきたとのこと。E-Cat Worldの記事はここにあります。

説明資料は以下に公開されています。



結果は最後の「Summary」にまとまっています。また、図の中に書かれているのですが、今回の実験は、直流電源を用いて行われたようです。ロッシ氏やParkhomov博士は、交流電源を用いており、これまでは「交流電源は必要条件の一つ」だと思われてきたので、非常に重要なポイントだと思います。

以下、サマリーに下手な日本語訳をつけてみました。非常に期待できる結果だと思います。
The anomalous heat production in the Ni+LiAlH4 fuels has been observed repeatedly. 
Ni+LiAlH4燃料による過剰熱生成は何度も観察されている。 
The heat production can be controlled by input power and can last for a long time.
熱生成は入力エネルギーによって制御され、長時間続く。 
The T2 temperature placed on the outer surface of the fuel cell is about 405℃ greater than the T1 temperature, T1 is placed on the outer surface of the reaction chamber and near the heater. 
燃料セルの外周に置かれたT2の温度はT1の温度より約405℃高い。T1は反応チャンバーの外表面に置かれヒータに近い位置にある(訳者注:T1が最もヒータに近いため、本来はT1の方がT2より温度が高くなる筈なのだが、それが逆転している)。 
An estimate power of excess heat is about 600 W. The ratio of excess heat of 600 W to input power of 780 W is 0.77. 
過剰熱は約600Wと見積もっている。600Wの過剰熱は780Wの入力に対して0.77の比率である。 
Considering self-sustaining effect, the input power might be significantly decreased if a chopper supply can be used to keep excess heat production. 
セルフ・サステイン効果まで考えると、チョッパーサプライが過剰熱生成を保つために使えたら、入力エネルギーはもっと下げられるかもしれない。
How to calculate the ratio of total produced heat energy to electrical input energy remains a question in present work. 
入力となる電気エネルギーに対しての全生成エネルギーの比率の計算は本研究ではまだ疑う余地が残る。
The consumption of nickel container and Ni + LiAl4 powders is checked to be less than 1 g after experiment. The calculated energy density is 4 orders of magnitude greater than the value of gasoline. 
ニッケルコンテナーとNi+LiAl4パウダーの消費量は1グラム以下である。これから計算されるエネルギー密度は、ガソリンのそれよりも4桁高い。 
Therefore, the origin of excess heat cannot be explained by any chemical energy. 
したがって、過剰熱の元は化学的なエネルギー反応ではあり得ない。
The isotope abundances of nickel and lithium in the fuels after experiment will be analyzed by mass spectrometry technique. A further experiment will be carried out. 
実験後の燃料にあったニッケルとリチウムの量はマス・スペクトロメトリーで分析予定である。更なる実験を計画している。

以上

MFMPの常温核融合実験が進行中でリアルタイムに中継されています【終了しました】

MFMP(マーチンフライシュマン記念プロジェクト)が、2015年5月29日(金)から何回目かの常温核融合実験に挑んでおり、その模様が実況中継されています(これを書いている時点で、まだ続行中)。いわゆるParkhomovスタイルの実験の追試です。この実験の記事はE-Cat Worldにも出ています。

今回は、常温核融合を起こすための燃料を入れたスティックと、入れてないスティックの2つを同時に同じように加熱して、発生する温度や熱量の差を見る方法を使っています。時間と共にヒーターを加熱して温度を上げていき、ある程度温度が高くなった所から、燃料アリの方に過剰熱発生が見られる事を期待しています。

Second calibration done on *GlowStick* GS3 done, experiment due to commence soon...[]=Project Dog Bone=[]In Alan...
Posted by Martin Fleischmann Memorial Project on 2015年5月28日


この実験データをほぼリアルタイムに記録&公開してくれているのが以下のサイトです。これを書いている時点で、両者の差は60℃ほどになっています。非常に面白くなってきました。こんな実験がリアルタイムに観察できるのは素敵ですね。


【追記:2015-05-31】
実験開始後、約48時間で実験終了となったようです。E-Cat Worldにもまとめの感想が載っています。以下の記録を見ると、温度差の最高は84℃だったようです。まだこれだけでは実証できたとは言えないのでしょうが、肯定的に見える結果を完全に公開された環境で実現できたのは、たいへん価値のある一歩だと思います。MFMPや実験に協力した方々に感謝します。実験後の「燃料」の元素分析が楽しみです。


以上

2015年5月24日日曜日

Shafeev博士のレーザー照射による半減期短縮実験

常温核融合をブログEGO OUTで扱っているPeter Gluckさんが非常に興味深い記事を2015年5月18日に掲載されました。Shafeev博士の一連の論文の重要性について書いてます。
THE REAL SIGNIFICANCE OF THE SHAFEEV PAPER FOR LENR

以下の写真は、その記事の中で引用されているMK.RUの記事に貼ってあったものを引用しています。原文がロシア語なのでGoogle翻訳の助けを借りました。


EGO OUTの記事は以下のように述べています。
4) On the Russian site http://www.lenr.seplm.ru/This paper appeared:
Russian Discoveies: And on uranium  will blossom apples too?
Nuclear waste can be converted into fertilizer
by Georgy Shafeev
http://www.mk.ru/science/2015/05/14/i-na-urane-budut-yabloni-cvesti.html 
I was a bit puzzled first but then I realized that this is something very important connected with nano-plasmonics. Axil Axil, in a message has cited an other paper with Shafeev co-author: 
Accelerated alpha-decay of 232U isotope achieved by exposure of its aqueous solution with gold nanoparticles to laser radiation
A.V. Simakin, G.A. Shafeev
Wave Research Center of A.M. Prokhorov General Physics Institute of the Russian Academy of Sciences, Vavilov Street, Moscow 119991, Russian Federation
http://arxiv.org/ftp/arxiv/papers/1112/1112.6276.pdf 
What Shafeev and Co. does is of utmost importance for understanding how LENR really works and you will know soon how and why.

ここで参照されている論文からアブストラクト部分を以下に引用します(赤字は引用者による)。
Accelerated alpha-decay of 232U isotope achieved by exposure of its aqueous solution with gold nanoparticles to laser radiation
A.V. Simakin, G.A. Shafeev
Wave Research Center of A.M. Prokhorov General Physics Institute of the Russian Academy of Sciences, Vavilov Street, Moscow 119991, Russian Federation 
Abstract
Experimental results are presented on laser-induced accelerated alpha-decay of Uranium-232 nuclei under laser exposure of Au nanoparticles in aqueous solutions of its salt. It is demonstrated that the decrease of alpha-activity strongly depends on the peak intensity of the laser radiation in the liquid and is highest at several terawatt per square centimeter. The decrease of alpha-activity of the exposed solutions is accompanied by the deviation of gamma-activities of daughter nuclides of Uranium-232 from their equilibrium values. Possible mechanisms of the laser influence on the alpha-activity are discussed on the basis of the amplification of the electric field of laser wave on metallic nanoparticles. 
この論文は非常に面白い実験結果を示しています。素人の理解では以下が特徴となっているように思います。

  • 論文では、ウラニウム232(半減期68.9年)の塩化化合物の水溶液の中に金のナノ粒子を入れて、レーザーを照射したところ、アルファ崩壊が加速される現象が報告されている。
  • 物質によって決まる定数だと考えられている半減期が縮まるのですから、極めて異常な事象が起こっている事になります。
  • ナノ銀による放射線低減実験に似ていますが、金のナノ粒子局在表面プラズモン共鳴を起こさせる波長のレーザー照射をしている点が大きな違いであり、特徴です。
    (冒頭に引用した写真は、実験でレーザー照射している光景だと思われます)
  • アルファ崩壊の加速は、レーザーを照射した一瞬で起こるようです。論文の中では、69年の半減期がレーザーフィールドの中では5μ秒になる「In other words, the half-life of 232U in the laser field is 5 μs instead of 69 years.」と表現されています。

Shafeev博士は、この論文以外にも、様々な核種や様々なナノ粒子で同様の現象を確認しているようです。今後も研究成果を調べて行きたいと思います。最後に上記の論文を埋め込み表示しておきます。

以上

2015年5月17日日曜日

東工大・原子炉研コロキウム「凝縮系核科学の現状と将来」が開催される

2015年5月14日に、東工大の大岡山キャンパス蔵前会館にて、「凝縮系核科学の現状と将来」というコロキウムが開催されました。その前日には、東北大学の電子光理学研究センターで、凝縮系核反応共同研究部門の設立を記念したミニシンポジウムが開催されており、講演者の笠木博士らは、仙台から移動して来られたようです。



5月13日、14日の2日間に渡って、シンポジウム「常温核融合の現状と未来」を、東北大学、東工大と開催致しました。平日の午後の開催にもかかわらず、おかげさまで、160人を超える日本の産官学を代表するオピニオンリーダーの方々にご出席いただきま...
Posted by Clean Planet Inc. on 2015年5月17日


私も仕事を休んで参加してきました。会場には、目視で80名くらいの出席者がいたと思われます。最初の挨拶で、意外に産業界からの出席者が多いという発言がありました。日本でもビジネスマンの方が敏感に反応しているようです。

会議のプログラムは以下の通りです。

日時: 2015年5月14日(木) 13時~17時
場所: 東京工業大学蔵前会館ロイヤルブルーホール (13時~16時 講演)
     同上 2階 大会議室 (16時~17時 懇親会・ディスカッション)

司会: 伊藤岳彦(東北大学客員准教授)
挨拶: 小栗慶之(東京工業大学教授)
     吉野英樹(株式会社クリーンプラネット 代表取締役社長)

はじめに: 笠木治郎太(東北大学名誉教授)
金属凝集系と水素の異常発熱: 高橋亮人(大阪大学名誉教授)
凝縮系核変換の現状と今後の展開: 岩村康弘(東北大学特任教授)
Low Energy Nuclear Reactions: Robust Results, Promising Potential and Critical Challenges: David Nagel (Professor. George Washington University)


講演には質疑の時間があり、幾つか興味深い議論がありました。一つは、「こんなに驚くべき結果が出ているのに、なぜマスメディアは取り上げないのか?」というものです。うまく答えておられましたが、この質問は、本来はこの会場に来ていないマスメディアの「科学ジャーナリスト」の方々に向けられるものだと思います。私は、日本の大方の科学ジャーナリストは権威付けられたものしか報道しないから、というのが答えだと思ってます。
また、別の質問で、岩村博士が色々な元素の変換を試す中で、非放射性の元素から放射性の元素が生まれた事はないのか、というものがありました。岩村博士によると、残念ながら、今まで、変換先の元素として放射性元素を検出したことは無いとの事。仮に放射性元素が生じにくいのだとすると、そこには常温核融合のメカニズムの秘密が隠されているかもしれませんね。

いずれにしても、このような学術会議が日本で開かれるようになった意義は大きいと思います。今後も継続して開催されるよう期待しています。

以上

常温核融合を全否定する言説(1)

常温核融合について調べていると、常温核融合現象が観測される実験結果をたくさん目にするので、もはや「常温核融合があるのは当たり前」という感覚になってきます。しかし、世の中では殆ど常温核融合研究の実態が知られておらず、いまだに「そんな事が起こる筈がない」「否定された筈だ」といった言説を良く見かけます。

このような常温核融合を真っ向から否定する言説を取り上げて、私が間違っていると考える点を挙げてみることにしました。こういう反論を考えるのは、常温核融合に対する理解を深める効果があると思っています。

何回続くか分かりませんが、最初は「化学反応と核反応ではエネルギーレベルが違うので、化学反応が核反応を誘発することはありえない」という説を考えてみます。例えば、板橋区の松崎いたる区議の以下の発言などは典型的です。「化学反応で核反応が起こることはあり得ず、科学的にはまったく根拠がありません」と否定しています。

板橋区ホタル生態環境館の元職員が「ナノ銀で除染できる」と福島県大熊町に働きかけていたことを示す資料。化学反応で核反応が起こることはあり得ず、科学的にはまったく根拠がありません。 http://www.i-foe.org/h26wa29256/suitor/k18.pdf
Posted by 松崎 いたる on 2015年5月12日
まず、化学反応のエネルギーの大きさが、核反応のエネルギーの大きさと全く違うというのは事実です。
大雑把に言うと、化学反応では、一つの反応でeV(エレクトロンボルト)ぐらいの大きさのエネルギーが放出されます(反応によって大きさは異なりますが、オーダーとしてはこの程度です)。一方、核反応では、一つの反応で、MeV(メガエレクトロンボルト)ぐらいの大きさのエネルギーが放出されます(これもオーダーとしてこの程度という話です)。要するに、核反応の方が化学反応より百万倍くらい大きなエネルギーを発生するのです。

しかし、発生するエネルギーの大きさが全く違うからといって、「化学反応が核反応を誘発することはありえない」と主張できるでしょうか? 私の狭い知見の範囲では、この主張の証明を見たことがありません。これまで何度も追試されている常温核融合現象では、電気分解や数百℃の加熱など、いわゆる化学反応レベルのエネルギーをかけることによって、核反応としか思えない過剰熱や元素変換を検出しています。そもそも、「化学反応が核反応を誘発することはありえない」という主張は、根拠のない都市伝説のようなものだと思います。

さらに、実は、常温核融合を持ち出すまでもなく、この主張は否定されているようです。

以下の資料は、東工大で2015年3月15日に開催された「「中性子で元素を変えよう」 ~放射能を無くする原子核変換を目指して~」という一般向けの講座で配られた井頭正之先生の資料の一部です。

ANNRIという中性子核反応測定装置を用いて、長寿命な放射線核種であるキュリウム246の中性子捕獲断面積を計測した結果を示しています。中性子の持つエネルギーが4.31eVや15.31eVという所で、中性子捕獲断面積が非常に大きくなるピークが観測されています。私は初めて知ったのですが、ただの「エレクトロンボルト」オーダーのエネルギーを中性子が持っている時に、衝突する相手の246Cmとたいへん良く核反応を起こす事を示しています。

クーロン斥力が働かない中性子だと、実は、化学反応レベルのエネルギーの時がたいへん良く核反応を引き起こす、という訳です。常温核融合を持ち出すまでもなく、「化学反応レベルのエネルギーを持った粒子が核反応を引き起こしている」のです。

こう言うと、「いや、クーロン斥力が働く時の話をしていた」という反論があるかもしれません。でも、それならそういう主張をすべきであって、それにはまた別の反論があります。

以上

2015年5月10日日曜日

「早わかり常温核融合」~常温核融合を6分間で紹介するビデオ

常温核融合のインターネットライブラリであるLENR-CANR.orgから、“Brief Introduction to Cold Fusion”(早わかり常温核融合)と題したビデオが公開されました。ポンズ博士とフライシュマン博士が行った実験から説き起こして、常温核融合がどのような反応であり、なぜ再現が難しかったのか、実現するとどのような価値があるのかを分かりやすく紹介してあります。日本語の字幕が入っていますので、日本の方々にも是非見ていただきたいと思います。


このビデオのスクリプトは以下に公開されています。

英語: http://lenr-canr.org/wordpress/?page_id=1618

日本語: http://lenr-canr.org/wordpress/?page_id=1618#JapaneseScript

LENR-CANR.orgに公開されている日本語文献については、ここに紹介してあります。興味を持った方は是非読んでみてください。

以上

2015年5月2日土曜日

常温核融合グッズ(笑)

Edmund Storms博士の著作のページを見ていたら、常温核融合グッズ(笑)を売っているお店にリンクが張ってありました。Tシャツだけでなく、マグカップ、帽子、コースター、ステッカー等、豊富な品揃えです(笑)。デザインがなかなかカワイイ感じで良いですね。




以上


Edmund Storms博士の著作のプロモーションサイト

常温核融合研究者として有名なEdmund Storms博士の書いた「The Explanation of Low Energy Nuclear Reaction」という本のプロモーションサイトが開設されていました。Kindle版も既に出ています。


また、Storms博士は「The Present Status of Cold Fusion and its Expected Influence on Science and Technology [.pdf]」という4ページの記事を無償公開されています。この記事のタイトルを見ていて、Storms博士が、「LENRGY, LLC」という会社の所属になっているのに気が付きました。少し前に、Lenr Forumでも話題になっていたようです。色々と新しい動きが出てきてますね。


以上